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ハプニングによる困窮と苛立ち・・・。それらの緊張感が音楽の力として見事に昇華した、カラヤン最後のロンドン公演!1988年、最後の来日公演よりさらに5ヶ月後、カラヤンの死が9ヶ月後に迫った頃のコンサートです。前回と同じかそれ以上に、聴衆に「これが最後かも知れない」との雰囲気が蔓延したのは、誰も口にせずとも明確です。 そんな中、このコンサートは大きなハプニングとともに始まることになります。ウィーン、パリそしてロンドンという楽旅上にあったカラヤンとベルリン・フィルですが、パリからロンドンへの楽器の搬送がフランス国内でのストライキの影響で遅れに遅れてしまったのです。ドーヴァーからイギリス警察が護衛し搬送するという国家的な特別措置をもってしても、ホール・リハーサルに割く時間は確保されませんでした。事情を知らされていなかった聴衆の心中が、いかに穏やかならなかったかを想像するのは難しくありません。それは、苛立ち、といった感情より、最悪の事態(=公演の中止)をも想定したそこはかとない不安感だったに違いありません。同様に、楽器の到着を待ちわび続け、リハーサルが出来なかった不安もあった楽団員たちもまた、今までに無い緊迫感の中にありました。こうした不安と緊張が渦巻き、リハーサルなしという万全とは言い難い状況下で演奏されたブラームスの1番が、なんと神がかりなことか!負のエネルギーをすべて演奏表現のエネルギーへと昇華してしまう過程を聴くにつれ、帝王とまで称されたカラヤンの超人間的な力にただただ圧倒されるばかりです。(ユニバーサルIMS)【収録情報】・シェーンベルク:浄夜 作品4(1917年弦楽オーケストラ版)・ブラームス:交響曲第1番ハ短調 作品68 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮) 録音時期:1988年10月5日(ライヴ、ステレオ) 録音場所:ロンドン、ロイヤル・フェスティヴァル・ホールPowered by HMV
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