ピアノ五重奏曲の傑作を本来の響きで再現フンメル: ピアノ五重奏曲 Op.74 & 87ネポムーク・フォルテピアノ五重奏団ピアノ五重奏といえば、「ピアノ&弦楽四重奏」となりそうなものですが、フンメルの場合は、少年時代に2年間住み込みで師事したモーツァルトの影響が大きかったのか、ピアノ四重奏(ピアノ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ)にコントラバスを追加するという変わった編成を採用しています。このCDでは、フンメルの名前ネポムークを冠した五重奏団によるピリオド楽器での高密度な演奏により、シューベルトの「鱒」とショパンのピアノ協奏曲に影響を与えたフンメルのピアノ五重奏曲ニ短調(七重奏曲からの編曲)と、その14年前に書かれたピアノ五重奏曲変ホ短調を収録しています。▶ Brilliant Classics 検索 作品についてピアノ五重奏曲 Op.74 ニ短調オリジナルは1816年に出版された「ピアノとフルート、オーボエ、ホルン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスのための大七重奏曲 ニ短調」。同年中にフンメル自身によってピアノ五重奏版に編曲され、「ピアノとヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスのための大五重奏曲 ニ短調」として出版。当時の一般的な七重奏曲と違ってピアノの配分が大きいことから、ピアノ五重奏にも編曲したものと思われます。 シューベルトと懇意の実業家ジルヴェスター・パウムガルトナーは、ウィーンの西150キロほどのところにあるシュタイアー在住の音楽パトロンで音楽サロンも所有しており、1816年に出版されたフンメルのピアノ五重奏曲ニ短調がお気に入りだったため、シューベルトに同趣の音楽の作曲を委嘱し、完成したのが「鱒」という話は有名です。 また、さらに後のショパンのピアノ協奏曲に与えた影響も大きそうです。ピアノ五重奏曲 Op.87 変ホ短調1802年10月に完成。当時23歳のフンメルは、ワイマール宮廷のカペルマイスターを務めており、年に3か月はピアニストとしてパリ、ロンドン、ウィーンなどに演奏旅行をする生活でした。このピアノ五重奏曲はなかなか充実した作品であるにも関わらず出版が20年後になってしまったのは、1816年に出版したOp.74のピアノ五重奏曲が、海外でも人気を博すほどの成功作だったことが関係しているかもしれません。 作曲家についてオーストリアの作曲家、ヨハン・ネポムーク・フンメル[1778-1837]は、非常に優れた技巧を持ったピアニストでもあり、その影響はショパン、リスト、シューマンにも及んでいます。 演奏者についてネポムーク・フォルテピアノ五重奏団は、フォルテピアノ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスという珍しい組み合わせの音楽を演奏するために、1999年に福田理子とピーター・スミタイセンによって結成されたアンサンブル。この楽器編成の作品としてはシューベルトの「鱒」の五重奏曲が有名ですが、その前に書かれておそらく影響も与えていたのが、ヨハン・ネポムーク・フンメルを含む数人の作曲家ということで、アンサンブル名はフンメルに敬意を表して「ネポムーク・フォルテピアノ五重奏団」に決まったということです。 そして「ネポムーク・フォルテピアノ五重奏団」のメンバーは、ヨーロッパのさまざまな図書館で楽譜を捜索・研究し、これまでに1800年から1870年にかけて書かれながらほとんど知られていない五重奏曲を20点近く発見しています。 CDは、Brilliant Classicsなどから発売。 収録作品と演奏者ヨハン・ネポムーク・フンメル (Johann Nepomuk Hummel)1778-1837◆ピアノ五重奏曲 Op.74 ニ短調 (Piano Quintet in D minor)1. I. アレグロ・コン・スピリート (Allegro con spirito) 14:592. II. メヌエットとスケルツォ - アレグロ (MenuettPowered by HMV