珠玉のイタリア・バロックの名品世界初録音を含むマルチェッロの素晴らしいカンタータと器楽作品の世界ベネチアの高貴な家系の末裔であり、名オーボエ協奏曲の作曲家でもあるアレッサンドロの弟で、音楽と文学の分野で才能を持つベネデット・マルチェッロは、アントニオ・ロッティやフランチェスコ・ガスパリーニに音楽を師事。50点ほどしか遺さなかった兄とは対照的に作曲家として精力的で、700点近い作品が確認されており、代表作『詩的・音楽的霊感』や、独唱とアンサンブル用のカンタータ作品を約300曲作曲しています。またオペラ、器楽作品などさまざまなジャンルを網羅する彼の音楽作品は、同時代のバッハやテレマンからも高く評価され、彼の弟子の中にはバルダッサーレ・ガルッピがいました。 ここに収録された4つのカンタータのうち3つは世界初録音で、現在チューリッヒのシュナイダー・ゲネヴァイン・コレクションに所蔵されているソプラノと通奏低音のための24 のカンタータで構成された、壮大な絵で装飾された手稿譜によるもので、音楽学者のエドゥアルド・ダニーノによって1941年に発見されましたが、数年前に音楽学者のニコラ・シュナイダーがオークションで購入するまで失われたと考えられていました。 『私は去り際に死なず』は、他にないオリジナルでユニークな作品で、世界中の他の資料には載っていない特別なものです。『聞こえるよ、アモール、聞こえているよ』は嘆き(ここでは羊飼いのドリンダの)のようなものです。 また『幸せな草原へ』では、不幸なクロリが、日当たりの良い春の牧草地を背景にニーソの不貞を嘆きます。このカンタータでマルチェッロは高音部の通奏低音にいくつかのパッセージを書いています。これらの独自なパッセージは非常に珍しいものであり、作曲者が通奏低音の実現にどのような方向を望んでいるのか、演奏者に小さなヒントを与えてくれます。 ソプラノ、弦楽器、通奏低音のための素晴らしい『なんという突然の旋風』は、ベニスのマルチャーナ図書館に写本として残されています。激しい弦楽器によって絶えず中断されるソプラノ部分は、雲が集まり、荒れ狂う海を揺るがす風が解き放たれる様子を連想させます。 5つの『4声のシンフォニア』は、おそらく1716年から1726年の間に作曲されたもので、謎めいたデュー氏に捧げられています(作曲者の自筆譜と思われる楽譜はロンドンの大英図書館に保管)。今回のアルバムでそれらの曲はカンタータへの導入曲として挿入されています。 エコー・クラシック受賞などで高く評価され、天真爛漫な純真さを感じさせてくれる素晴らしい歌声をもつソプラノ、ヌリア・リアルは、これらの作品の本質を見極め、その多彩な表現力を駆使して実に魅力的な歌唱を成し遂げています。またルーマニアのゲオルゲ・ディマ音楽アカデミー、バーゼル・スコラ・カントールム、シュトゥットガルト音楽演劇大学で研鑽を積み、現在、バーセル・テオドール教会専属オルガニストを務めている女流鍵盤楽器奏者ニコレッタ・パラシヴェスクは、埋もれた作品の復活蘇演に力を入れ、このアルバムでも緻密な研究に基づく、作品の様式美を見事に再現しています。(輸入元情報)【収録情報】B.マルチェッロ:1. 4声のシンフォニア第1番変ロ長調 SF C7812. カンタータ『幸せな草原へ』 SelM A43. 4声のシンフォニア第5番ニ長調 SF C7764. カンタータ『なんという突然の旋風』 SF A2665. 4声のシンフォニア第2番イ長調 SF C7776. カンタータ『聞こえるよ、アモール、聞こえているよ』 SelM A350a7. 4声のシンフォニア第4番ト長調 SF C7798. カンタータ『私は去り際に死なず』 SF A2139. 4声のシンフォニア第3番ト長調 SF C778 ヌリア・リアル(ソプラノ:2,4,6,8) ラ・フロリディアーナ(ピリオド楽器アンサンブル) ニコレッタ・パラシヴェスク(指揮、チェンバロ) 録音時期:2021年8月26-28日 録音場所:スイス、ゼーヴェン、カトリック教会 録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)Powered by HMV