「人間は『無視・称賛・非難』の段階で試される」これは、今年2月に惜しまれつつ亡くなった日本野球界の至宝・野村克也氏がよく口にしていた言葉だ。無視や称賛をされている段階はまだ三流や二流に過ぎず、非難されるようになって初めて、一流として認められるーー。裏を返せば、一流だからこそ非難されるとも言えるだろう。長嶋茂雄、王貞治、落合博満、原辰徳、桑田真澄、清原和博、古田敦也、イチロー、松井秀喜、田中将大、ダルビッシュ有、大谷翔平……本書では、そんな日本プロ野球の歴史に名を刻む「超一流選手」31人に対し、野村氏の確かな理論と観察眼から、鋭い論評が加えられている。 野村氏の苦言といえば、「ボヤキ」が有名だ。しかし、それはけっしてネガティブなものではなく、期待と愛情の表れであった。亡くなるまで野球への愛と情熱を失わなかった野球人・野村克也による「最後のボヤキ」を、本書でぜひご堪能いただきたい。