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ソナタは作品の真価を問う情報量最大化系演奏ベートーヴェン:フルート室内楽曲全集(3CD)ジネーヴラ・ペトルッチ(フルート)、他真作か偽作かで論争になりながらもフルーティストに人気なのがベートーヴェンの遺品から出てきたフルート・ソナタ。ここではクリティカル・エディションを使用し、緩急や強弱の誇張をおこなわず、楽譜を丁寧にトレースすることで、作品の姿をそのまま示しています。同じくフルートとピアノのために書かれたベートーヴェン円熟期の「民謡主題と変奏曲」も着実な仕上がりです。組み合わせは、「2本のフルートのための二重奏曲」、「 ピアノ、フルートとファゴットのための三重奏曲」、「フルート、ヴァイオリンとヴィオラのためのセレナーデ」というそれぞれ異なる楽器編成による作品というのもおもしろいところです。▶ Brilliant Classics 検索 作品情報◆ フルート・ソナタ 変ロ長調 Anh.4(CD1 トラック1〜4)ベートーヴェンの遺品に含まれていた作品で1906年に初めて出版。ベートーヴェンのオリジナルかどうか真偽不明とされていますが、偽作という証拠もなく、曲もなかなか魅力的なため、多くのフルーティストによって演奏されてきました。  今回の録音では、Hess番号で知られるベートーヴェン研究者、ヴィリー・ヘス[1906-1997]が校訂して1951年に出版したクリティカル・エディションを使用。  第1楽章ではベートーヴェンらしさを出すためなのか、大きく緩急をつけて演奏する人が多い中、ここでは脚色なしで演奏。第2楽章もポロネーズなので急ぎませんし、第3楽章はラルゴなのでゆっくり。第4楽章もアレグレットに従って細部まで描出。しかも近接気味の録音のため各素材が浮かび上がる効果も十分で、作品情報を細大漏らさず伝えることを目的とした演奏であることが窺えます。◆ 6つの民謡主題と変奏曲 Op.105(CD1 トラック5〜10)1818年頃作曲。ベートーヴェンはスコットランドの出版社トムソンからの依頼でイギリス民謡を大量に編曲しており、その経験から生まれたのが、その器楽変容ヴァージョンともいえる一連の作品。ここではウェールズ民謡、ウィーン民謡、アイルランド民謡、計6曲の主題による変奏曲がまとめられています。第4曲「夏の名残のバラ(庭の千草)」による主題と変奏をはじめとして、ベートーヴェン円熟期の技法を隅々まで聴かせる心地良い演奏が楽しめます。◆ 10の民謡主題と変奏曲 Op.107(CD2 トラック1〜10)1818〜1819年作曲。Op.105と同趣の作品。チロル俗謡、スコットランド民謡、ウクライナ民謡、アイルランド民謡、ウェールズ民謡、計10曲の主題による変奏曲がまとめられています。◆ 2本のフルートのための二重奏曲 ト長調 WoO26(CD2 トラック11〜12)1792年11月に作曲。出版は1902年。ボン時代のベートーヴェンが、ウィーンに出発する前に友人のために作曲した小品。その友人はベートーヴェンが聴講したことのあるボン大学の学生デーゲンハルトでした。◆ ピアノ、フルートとファゴットのための三重奏曲 ト長調 WoO37(CD3 トラック1〜3)1786〜1790年頃作曲。出版は1888年。自筆譜には「クラヴィチェンバロ、フルート、ファゴットのための協奏三重奏曲、ケルン選帝侯のオルガニスト、ルートヴィヒ・ファン・ベートーヴェン作曲」とあり、当時のベートーヴェンが宮廷オルガニストとして、貴族子女にピアノを教えたりしていたことがわかります。  この作品もお気に入りの生徒だったマリア・アンナ・ヴィルヘルミーネと、その父と兄の開く家庭内演奏会のために書かれたとされており、楽器編成が特殊なのはその演奏者に合わせたという事情があります。◆ フルート、ヴァイオリンとヴィオラのためのセレナーデ ニ長調 Op.25(CD3 トラック4〜10)1801年作曲。出版は1802年。作曲動機などは不明ですが、非常に珍しい楽器編成なので、依頼者の都合に合わせたものとも考えられています。編成はユニークですが、曲の構成はモーツァルトの伝統に類似。また、第1楽章から鳥のさえずりのような楽句が聴こえたり曲調も魅力的なことから出版の翌年には他者による編曲版も出版されるなど、人気もあったようです。Powered by HMV
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