首席指揮者エサ=ペッカ・サロネン!シェーンベルクの『グレの歌』で初登場!イギリスのレーベル、シグナム・クラシックス(Signum Classics)とフィルハーモニア管弦楽団のコラボレーションによる「フィルハーモニア管弦楽団シリーズ」。シリーズのスタート以来、名誉指揮者ドホナーニ、首席客演指揮者マッケラス、桂冠指揮者アシュケナージ、サー・アンドルー・デイヴィスなど大物指揮者たちが名を連ねてきたこのシリーズに、現首席指揮者エサ=ペッカ・サロネンが遂に登場! しかもプログラムはシェーンベルク初期の超大作「グレの歌」のライヴ録音! 現名誉指揮者ドホナーニよりタクトを受け継ぎ、2008/2009シーズンからフィルハーモニア管の首席指揮者兼芸術監督に就任したサロネン。首席指揮者就任後最初のレコーディングがシェーンベルクの『グレの歌』という大胆不敵な選曲は、サロネンがフィルハーモニア管に対する大きな信頼、演奏への絶対的自信の現われと言えるでしょう! この『グレの歌』はサロネンが首席指揮者着任直後に発表したコンサート・シリーズ「夢の都、ウィーン1900〜1935」のオープニング・コンサートとして上演されたもので、コンサート後には英国のメディア各紙から大絶賛を浴びています。 なお、このアルバムはハイブリッド・タイプのSACDなので、通常CDのステレオ音声のほか、SACDのステレオ音声、SACDのマルチチャンネル音声という3つの音声が収録されています。直接音の切れ味、楽器の音の細密な描写を味わうのであれば2チャンネル・ステレオが、ホールに響く全体の雰囲気を味わうにはマルチチャンネルが適しているとよくいわれますが、それらを聴き較べて楽しむのもハイブリッドSACDならではの楽しみと言えるでしょう。【収録情報】・シェーンベルク:『グレの歌』 スティグ・アンデルセン(テノール:ヴァルデマール) ソイレ・イソコスキ(ソプラノ:トーヴェ) モニカ・グロープ(メゾ・ソプラノ:山鳩) ラルフ・ルーカス(バス・バリトン:農夫) アンドレアス・コンラート(テノール:クラウス) バルバラ・スコヴァ(語り) フィルハーモニア・ヴォイセズ バーミンガム市交響合唱団 フィルハーモニア管弦楽団 エサ=ペッカ・サロネン(指揮) 録音時期:2009年2月28日 録音場所:ロンドン、ロイヤル・フェスティヴァル・ホール 録音方式:デジタル(ライヴ)【グレの歌について】 『グレの歌』は、実在のデンマーク国王ヴァルデマール(在位1157-1182年)をめぐる伝説にもとづいています。国王とその愛人トーヴェとの悲しくもグロテスクな物語のあらましは以下の通りです。 この手の寓話に良くあるパターンですが、国王ヴァルデマールには嫉妬深くわがままな妃がおりました。嫌気がさしたヴァルデマールは、トーヴェという美しく気立ての良い女性を愛人とし、グレの地にある狩猟用の城郭で逢瀬を重ねます。 が、ほどなく不倫は妃にも知れるところとなり、やがてトーヴェは妃によって毒殺されてしまうのです。ヴァルデマール王は激昂して神を呪ってしまいそれが原因で天罰によって命を落とすこととなり、おまけにその魂は昇天することが許されず、大勢の兵士の幽霊を引き連れトーヴェの魂を求めて夜な夜なグレの地を徘徊することになってしまいます。 時は流れ夏の嵐に替わって実りの秋が到来。収穫の季節にふさわしく農夫も登場し、やがて道化師と語り手も登場して、幽霊たちの壮絶な合唱を交えながらも、二人の魂の救済に向けて盛り上がりをみせます。最後は混成8部合唱による壮大な太陽の賛歌となっており、女声合唱の参加による色彩の変化が、魂の救済の可能性を暗示しているかのようです。 この作品は最初、シェーンベルクがまだ若い頃に一編の歌曲として書き上げられ、その後巨大化の道を歩んだという後期ロマン派風の作品。ワグネリズムの影響、特に『神々のたそがれ』や『さまよえるオランダ人』を髣髴とさせる場面があるなど、シェーンベルクらしからぬ親しみやすさと、通常のレパートリーではおそらく最大音量と言われるその迫力ある音調、および変化に富む曲調から、これまでにも注目すべきレコーディングがいくつもおこなわれてきましPowered by HMV