資本主義における基本資産は、カネ(金融資本)とモノ(物的資本)だった。ヒト(人的資産)は、資産ではなく費用(コスト)として計上されるという欠点があった。本書で提唱する「パーパス経営」の源泉は、人の思いを中心とした「パーパス」という目に見えない資産である。これは自分は何のために存在するのか、そして他者にとって価値のあることをしたいという信念である。「パーパス」は、マネジメント用語としても、ミッション、ビジョン、バリューの上位概念として注目されている。こうした考え方は、日本の企業が昔から「志」といった言葉で、強く持っているものだ(著者はパーパス重視の経営を「志本主義」と呼ぶ)。これからは、志に基づく顧客資産、人的資産、組織資産などの無形資産をいかに蓄積していくかが経営の鍵となる。昨今、注目されているSDGsは、2030年までの目標にすぎない。そうではなく、30年先の視点から現在を捉える発想が不可欠だ。本書では、国内外の100社以上の名だたる企業の変革にかかわってきた著者が、志を追求し、成長を続けるための経営の思想と、具体的なマネジメントの方法を説き明かす。第I部 志本経営とは何か第1章 資本主義の終焉第2章 資本主義を超えて第3章 志本主義の系譜第4章 日本流再考第5章 志本経営の時代第II部 志本経営企業の群像第6章 世界の志本経営企業第7章 日本の志本経営企業第8章 世界と日本の共通点、相違点第III部 志本経営の実践第9章 サステイナビリティの実践第10章 デジタル時代に求められる進化力第11章 「グローバルズ」のフラクタル構造第12章 鍵を握る無形資産第13章 MX--経営のイノベーション第IV部 日本企業への提言第14章 失われた30年の蹉跌第15章 志が拓く未来