「いまスランプに陥っている」「稽古量に見合った進歩が見られない」「上達のためのコツをつかめない」──そんな剣士たちの悩みを晴らしてくれるあの“名著”を復刻。初版発行は1982年。他のスポーツとの比較例などもまじえた斬新な発想の技術解説は発刊当時も話題となったが、イラストや写真をふんだんに用いたイメージ的な紙面構成は時代を先取りした観もあり、40年経っても色褪せていない。 著者は全国中等学校大会3回優勝、東京高等師範学校時代も主将として全日本学生大会や同個人選手権大会で優勝を果たした。その後も、第9回全日本選手権大会(昭和36・1961)や、昭和54年(1979)に開かれた範士八段選抜優勝大会で優勝するなど、幾多の試合経験から得たことを本書のなかにも盛り込んでいる。とくに最終章では「絶対不敗の剣を探る」として、試合に勝つための心のあり方についても実感を込めて綴っている。範士八段の大家(著者)は格式張った物言いをせず、つねに競技者の心情に寄り添った言葉で数々の本を上梓してこられた(平成11年・1999逝去)。 本書の内容は以下のとおり──。第一章●すべての基本技を攻撃に直結させる=竹刀の生き死にを知る中段/相手より早く打つ/色と捨/実戦で一本になる面を打つ/効果的な小手打ち/跳び込み胴を打つ/突きの効果第二章●気力で“しかけ技”を引き出す=連続技で決める/出ばな技で先手必勝/払って打つ/意表をつくかつぎ技/片手技は有効な武器/攻撃のパターンをつくる第三章●感覚を磨いてこそ切れる“応じ技”となる=抜き技の秘密/返し技を得意にする/摺り上げは擦りつけて跳ね上げる/実戦に生きる小手摺り上げ面/打ち落し技は一刀流の極意第四章●上段は“天の位”“火の位”にある=上段をとる/面打ちの威力が小手打ちを生かす/上段からの諸手打ち/上段おそるるに足らず第五章●絶対不敗の剣を探る=全力を出して試合に勝つ/気力を爆発させる/意識過剰と自在の動き/迷いを晴らす