ハイドン歿後200周年を迎える2009年、LSO Liveがおくる超強力盤はデイヴィスによる『天地創造』。巨匠が80歳の誕生日を迎えるシーズンの呼び物のひとつとして、2007年10月におこなわれたライヴです。 『天地創造』は晩年の2度にわたる英国滞在中に、『メサイア』などヘンデルの大作におおいに触発され着想した、その規模内容ともにハイドンの最高傑作といわれるオラトリオ。旧約聖書の『創世記』と『詩篇』、ミルトンの『失楽園』をテキストの題材として、神による創造の第1日から第4日まで、生き物が出現する第5日と第6日、そしてアダムとイヴの登場と、創世の七日間を時系列に沿って3部構成で描いています。このように直截的にキリスト教的世界観で彩られた内容と、絵画的ともいうべき巧みな手法でわかりやすく活写される動物たちの魅力や、大合唱が動員されて聞き栄えすることなどから、欧米ではとりわけ人気も高く特別な作品として迎えられています。 こうした作品だけに『天地創造』は、すぐれた腕前で声楽作品を意欲的に取り上げてきたデイヴィスにふさわしいものとおもわれます。このたびの特色としてデイヴィスはヴァイオリン両翼型配置を選択。舞台下手から第1ヴァイオリン、チェロ、指揮者のすぐ正面に通奏低音、ヴィオラ、第2ヴァイオリン、上手奥にコントラバスという具合に、2006年12月の『メサイア』のときと同じくヴィブラートも控えめに、あきらかにピリオド・アプローチを意識したアプローチを行なっている点も注目されます。 なお、声楽陣では「優秀さがあまりに凄すぎてそのためかあまり強調されることがありません」(クラシカルソース・ドットコム)という、LSOに匹敵するもうひとつの手兵ロンドン・シンフォニー・コーラスに加え、目を引くのが名実ともにスター歌手を揃えたソリストたち。クリスティ盤のラファエルや、ヤーコプスの『四季』でのシモンが知られるヘンシェル。ミンコフスキの指揮でザルツブルク音楽祭2009でも同名役を歌う予定の、英国の誇りボストリッジ。そしてデイヴィスのお気に入りでマシューズという顔触れが並んでいます。 あらためて、当ライヴが取り上げられた時期については、デイヴィス80歳ガラ・イヴニングとして9月に行なわれたモーツァルトの『レクィエム』、さらに12月のティペットの『われらが時代の子』、そして前作、翌2008年4月のマクミランの『聖ヨハネ受難曲』世界初演という流れにあって、この上ない充実ぶりをみせているという事実も見逃せないところでしょう。(キングインターナショナル)・ハイドン:オラトリオ『天地創造』Hob.XXI-2 全曲 サリー・マシューズ(ソプラノ 天使ガブリエル、イヴ) イアン・ボストリッジ(テノール 天使ウリエル) ディートリヒ・ヘンシェル(バリトン 天使ラファエル、アダム) ロンドン交響合唱団 ジョセフ・カレン(合唱指揮) ロンドン交響楽団 サー・コリン・デイヴィス(指揮) 録音時期:2007年10月7日(DSD) 録音場所:ロンドン、バービカン・ホール(ライヴ) プロデューサー:ジェイムズ・マリンソン エンジニア:ニール・ハッチンソン、ジョナサン・ストークス DSD Recording SACD Hybrid CD STEREO/ SACD STEREO/ SACD SURROUND (5.0ch.)Powered by HMV