超優秀録音巨匠デイヴィス、LSO首席指揮者勇退コンサートの『メサイア』初回限定ボーナスDVDつき!演奏風景のハイライト&デイヴィスのインタビューを収録ことし9月25日に80歳の誕生日を迎えるコリン・デイヴィス。2006年の12月12日を最後に、彼は11年間にわたりその任にあったLSOの首席指揮者を勇退しました。LSOLive最新アルバムはヘンデルの最高傑作『メサイア』ライヴ、デイヴィスが首席指揮者としての最後の晴れ舞台に選んだ、とっておきのプログラムです。 1742年のダブリン初演以来、もっとも広く演奏され愛されている国民的なオラトリオ『メサイア』。ヘンデルの天才はただ巨大な合唱を扱った宗教的な荘厳さにあるばかりでなく、聖書からまとめられたテキストを通じて、キリストの生誕と死、そして復活をときに親しみやすく、ときにドラマティックに迫真を込めて描いているところにあります。こうしたストレートでわかりやすくセレモニアルな内容から、『メサイア』はいまや英国のクリスマス・シーズンには欠かせない風物詩となっています。 これまでにも折に触れて声楽を擁する大掛かりな作品を取り上げて、そのすぐれた腕前には定評がある巨匠デイヴィス。LSOとのメサイアではすでに前回のスタジオ盤(1966年)がモダン楽器によるスタンダードとの位置づけを獲得していますが、このたびのライヴの特色としては、ピリオド・アプローチを意識した試みが随所に挙げられます。 まず、ソリストにミンガルドやパドモアらいずれも古楽の確かな実績を積んだ顔触れを揃えていること。デイヴィスとの共演機会も豊富なグリットンはマクリーシュのプロダクションでおなじみのソプラノ。なかでもきわめつけはバスのマイルズ。第2部『いかなれば、もろもろの国民は』と第3部『トランペットは鳴りて、死人は朽ちぬ者に蘇り』では、そのゆるぎない音程、流れるようなレガート、力強い発声をはっきりと確かめられるはず。 さらに、これらソリストたちをもしのぐ活躍をみせたのがコーラス。あえて前回の録音に参加したロンドン交響合唱団に替えて迎えられたのは、最強の秘密兵器テネブレ合唱団。同じくバロック調の響きが求められた『キリストの幼時』に続いての起用はまさしくこの場にふさわしいものといえるでしょう。 じっさい、ここでも透明度の高い歌唱はたとえようもなく、ハーモニーの陰影と色彩は音楽に劇的なコントラストをもたらしています。たとえば、第1部終曲の合唱『主のくびきはやすく、主の荷は軽し』。カノンで歌われる入りはきびきびしたアーティキュレーションが際立ち、レビューでも“これ以上に的確で情熱的なものはあるはずがない”(フィオナ・マドックスー英イヴニング・スタンダード)と絶賛されていました。 そして、いままさに絶頂にあるLSO。編成を絞ったオケではヴァイオリンに対向配置が採用され、旋律の掛け合いがとても効果的。また、オリジナル楽器のレプリカを使用したトランペットなど、デイヴィスの意欲的な取り組みは例外なくオケにも向けられています。 思えばLSOLiveがスタートした2000年、その第1弾としてドヴォルザークの『新世界より』で登場したのがほかでもないデイヴィスでした。いまでは一般的となったオケによる自主制作盤リリースに先鞭をつけた彼こそは、いわばLSOの救世主。ロンドン初演で感極まったジョージ2世にならい、客席の聴衆も一斉に立ち上がるのが慣習となっているハレルヤ・コーラス。エネルギッシュなタクトのもと高らかに響き渡るとき、あらためてLSOのプレジデントとして復活することをみずからここに予言しているかのようにも感じられます。 なお、当セットには、期間限定で特典としてDVDビデオが付属します。40分におよぶライヴ演奏のハイライトとデイヴィスのインタビューは、無上の感動に包まれた一夜を巨匠とともに分かち合える何よりのプレゼントとなることでしょう。・ヘンデル:オラトリオ『メサイア』 スーザン・グリットン(S) サラ・ミンガルド(Ms) マーク・パドモア(T) アラステア・マイルズ(Bs) テネブレ合唱団 ロンドン交響楽団 サー・コリン・デイヴィDisc11 : オラトリオ『メサイア』全曲 デイヴィス&ロンドン響、テネブレ合唱団Disc21 : Powered by HMV