ミヒャエル・ザンデルリングのベートーヴェン/ショスタコーヴィチ・チクルス最新作は声楽入りの問題作の組み合わせ。新装なったドレスデン・フィルの本拠地クルトゥーアパラストのサウンドも聴きもの!ドイツの名指揮者クルト・ザンデルリングの三男で、現在ヨーロッパで熱い注目を集めている指揮者ミヒャエル・ザンデルリングと手兵ドレスデン・フィルの、ソニー・クラシカルへの「ベートーヴェン&ショスタコーヴィチ:交響曲全曲録音プロジェクト」。これまで第6番、第3番と第10番、第1番、第5番と4組のカップリング・アルバムを発売し、両方の作曲家が共有する魅力的な側面を明らかにしてきました。 最新作はベートーヴェン『第9』とショスタコーヴィチ『バビ・ヤール』という、二人の作曲家の声楽入りの問題作を組み合わせた力作2枚組です。ベートーヴェンの交響曲第9番は、2017年4月28日のドレスデン、クルトゥーアパラストの開幕演奏会でも取り上げられた作品で、その演奏の前後にセッションで収録されました。ミヒャエルはこれまでのアルバム同様、ピリオド演奏スタイルを徹底的に貫くことで、父クルトの重厚なベートーヴェン解釈とは一線を画し、演奏しつくされてきたベートーヴェンの解釈の可能性を新たに提示しているかのように感じられます。通常のシンフォニー・オーケストラの比較的大きな編成を使いながら、早めのテンポや軽めの響きで、各声部が織りなす綾を透明に浮かび上がらせる独自の解釈は、ベートーヴェン演奏の可能性をさらに拡げています。 一方ショスタコーヴィチの交響曲第13番『バビ・ヤール』は、ユダヤ人虐殺問題を扱った問題作。現ウクライナ共和国キエフ市近の谷「バビ・ヤール」で、1941年から1943年にかけてナチスによる強制収容所が置かれ、2年間で9万人にのぼるユダヤ人が虐殺された事実を踏まえたエフェトゥシェンコの詩に感銘を受けたショスタコーヴィチは、1962年にバス独唱と男声合唱を持つ5楽章の交響曲として作曲。反体制的な内容を持つ詩であるだけに、初演を巡っては大きな騒動が巻き起こったことでも知られています。ロシアのバス歌手ミハイル・ペトレンコとエストニア男声合唱団が起用され、現代における『バビ・ヤール』演奏意義を唱えた、意気込みを感じさせる熱演です。(輸入元情報)(写真 輸入元提供)【収録情報】1. ベートーヴェン:交響曲第9番ニ短調 Op.125『合唱』2. ショスタコーヴィチ:交響曲第13番変ロ短調 Op.113『バビ・ヤール』 ヴェラ=ロッテ・ベッカー(ソプラノ:1) クリスティーナ・シュタネク(アルト:1) ベルンハルト・ベルヒトルト(テノール:1) トルベン・ユルゲンス(バス:1) ミハイル・ペトレンコ(バス:2) MDR合唱団(1) エストニア国立男声合唱団(2) ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団 ミヒャエル・ザンデルリング(指揮) 録音時期:2017年4月27日〜5月2日(1)、2018年2月10-14日(2) 録音場所:ドレスデン、クルトゥーアパラスト 録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)Powered by HMV