セリーヌ・モワネ(シュターツカペレ・ドレスデン、ソロ・オーボエ奏者)Lumiere〜フランス近代オーボエ作品集年間平均230回の現場感覚シュターツカペレ・ドレスデンのソロ・オーボエ奏者をすでに14年も務めているセリーヌ・モワネは、フランス北部リール生まれのフランス人。 年間平均230回という膨大な数のオペラやオーケストラ、ソロや室内楽での演奏が交錯する高密度な世界で、たとえばある日曜日の朝、ハーディングの指揮するマーラー第4番の演奏会を終えた後、夕方には、コルンゴルトの「死の都」のピットで演奏し、翌日には、ティーレマンの「リング」のリハーサルをおこなうという具合です。 そうした重責を担い、集中力と規律を維持しながら培ってきた彼女の現場感覚と高度な技術は、絶妙なイントネーションや音色に結びついていて見事というほかありません。フランス近代アルバムここでご紹介するのは、ベルリン・クラシックスから2022年に発売されたフランス音楽作品集「ルミエール(Lumière)」です。 プーランク、ラヴェル、ドビュッシー、サン=サーンスというフランス近代の作曲家による作品集は、親しみやすい作風の中にさまざまなエピソードが多様な方法で示されたり、楽器間の味な対話がおこなわれたりと、自由な音楽の魅力にあふれています。 そしてその自由さは、選曲にもあらわれており、ドビュッシーの「サクソフォンとピアノのための狂詩曲」をイングリッシュホルン用に編曲したヴァージョンは、倍音たっぷりのサウンドが独特の雰囲気を醸し出します。 ラヴェルの「クープランの墓」では、第1次大戦で命を落としたラヴェルの6人の友人たちへの追想を、ノスタルジーと哀感の表現に秀でたオーボエに編曲したヴァージョンで表情豊かに聴かせます。 最終トラックのドビュッシー若書きのピアノ三重奏曲第1番第3楽章は、ピアノ三重奏からオーボエ、ファゴット、ピアノの三重奏用にモワネとデルヴォーが編曲したヴァージョンで、柔和な情感が美しい音楽。 以上3曲の編曲版に対し、オリジナル編成も3曲という構成になっています。 アルバム冒頭を飾るのは、プロコフィエフの死そ悼むプーランクのオーボエ・ソナタ。スケルツォなどもろにプロコフィエフで、若き日のパリでの交流を懐かしむかのように曲調も多彩です。 3曲目のプーランク作品「オーボエ、ファゴットとピアノのための三重奏曲」もオリジナル作品です。エピソードの多様な羅列っぷりとモーツァルトのような俊敏さが秀逸な傑作。モワネとウィーン・フィルのデルヴォー、ウーリヒによる気心知れたアンサンブルがとても楽しく、ファゴットも良い音で録れています。 5曲目のサン=サーンス:オーボエ・ソナタもオリジナル作品。亡くなる直前に書いた作品ですが、澄み切った美しさは格別です。 収録情報1. プーランク:オーボエ・ソナタ FP1852. ラヴェル:クープランの墓(クリスティアン・シュミット他によるオーボエとピアノ編曲版、全6曲)3. プーランク:オーボエ、ファゴットとピアノのための三重奏曲 FP434. ドビュッシー:狂詩曲(ジル・シルヴェストリーニによるイングリッシュホルンとピアノ編曲版)5. サン=サーンス:オーボエ・ソナタ ニ長調 Op.166 [1921]6. ドビュッシー:ピアノ三重奏曲第1番ト長調〜第3楽章(モワネとデルヴォーによるオーボエ、ファゴットとピアノ編曲版) セリーヌ・モワネ(オーボエ) Powered by HMV