劇作家・演出家として活躍する加藤直の書き下ろし詩を5人の作曲家が付曲した、混声合唱のための「組曲ー恋・乞う・声」より鶴見幸代作曲の第3曲目。2013年3月11日(東京オペラシティコンサートホール タケミツメモリアル)9人の作曲家による 9もんめのくりやまふみあき 苦楽を友と一里塚(指揮:栗山文昭/ピアノ:斎木ユリ/演奏:千葉大学合唱団、宇都宮大学混声合唱団、慶應義塾大学混声合唱団楽友会)にて委嘱初演された。他の作曲家にどのような詩が渡されたか、担当の詩がどのような立ち位置なのかを知らされずに、各作曲家によって作られた、非常に珍しい成り立ちの合唱組曲。各曲第一連の詩は、ほんの一部の変化を除き、共通テキストとなっている。この合唱組曲のモチーフは「声による劇場を携えての旅」。言葉と音楽そして身体と空間の響き合い、様々の声・色々の個性の混在によるおもしろさを劇場的に表現している。鶴見幸代によるこの曲は、他者を愛しながら揺れ動く人の様子を、作曲者が住んでいた沖縄の音を用いてドラマチックに描いた愛おしい作品。組曲の全5曲(5曲目のみ無伴奏)は以下の構成で、分冊により同時刊行された。1「歩きながら」(松下耕)、2「学びながら」(国枝春恵)、3「愛しながら」(鶴見幸代)、4「戦いながら」(信長貴富)、5「夢見ながら」(鈴木輝昭)。それぞれの曲がとてもユニークで、単曲での演奏でも十分な演奏効果をもつ。