ニケのレクィエム・シリーズ刻々と移り変わる美しいハーモニーに包まれるプーランクオルガンと合唱の繊細なハーモニーのデザンクロニケとフランダース放送合唱団によるレクィエム・シリーズの掉尾を飾るのはプーランクとデザンクロ、20世紀の作品です。フランス的で、繊細でありながら壮大な作品を、知と感情のバランスのとれたニケの指揮がこの上なく優しく天国的な美しさで響かせます。 フランシス・プーランクの『スターバト・マーテル』は、1950年に作曲されました。1949年に亡くなった友人クリスチャン・ベラール(画家・演出家)の死を悼んでのものでしたが、スターバト・マーテルのかたちをとっています。ソプラノ独唱と混声5部合唱、三管編成の管弦楽によって演奏される大規模な作品です。複雑な合唱が織りなす刻々と移ろう美しいハーモニー、そしてそれを包み込むような管弦楽が魅力。 アルフレッド・デザンクロ[1912-1971]はサックスの作品でとりわけその名が知られていますが、宗教作品も残していました。もともとこの『レクィエム』(1953年頃完成、1963年初演)はオーケストラのために書かれたものですが、オルガン版が残されています。デザンクロの息子であるフレデリク・デザンクロが奏者を務めた録音もありますが、このたびのニケが鍛え上げたフランダース放送合唱団の素晴らしい合唱による演奏は、貴重かつ決定盤の登場といえるでしょう。(写真c Wouter Van Vaerenbergh)(輸入元情報)【収録情報】1. プーランク:スターバト・マーテル2. デザンクロ:レクィエム(オルガン版) フランダース放送合唱団 マリオン・タッスー(ソプラノ:1) フランソワ・サン=ティヴ(オルガン:2) ブリュッセル・フィルハーモニック(1) エルヴェ・ニケ(指揮) 録音時期:2018年4月3-5日(1) 2019年4月24-26日(2) 録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)【エルヴェ・ニケ】マルグリット・ロンとラヴェルに師事していたマリ=セシル・モランに音楽を学ぶ。作曲家の意図に忠実に、常にオリジナルにさかのぼって音楽に向かい合うという姿勢が若い頃から骨の髄までしみ込んだニケは、その後チェンバロ、オルガン、ピアノ、歌、作曲、合唱指揮、そして指揮と実に幅広く学ぶ。クリスティのもとでも研鑽を積んだあと、パリ・オペラ座の声楽コーチを務める。同時にオペラ座でヌレエフら振付家とも親交を結び、伝統的な解釈、という手あかにまみれてしまった音楽作品を洗い直してその真の姿を描き出すことに特化していく。1987年にフランスのモテットなどを演奏するためにコンセール・スピリチュエルを設立。宗教作品から交響曲、そしてオペラまでをも手がけるようになる。現在ではフランダース放送合唱団の音楽監督を務めるほか、ブリュッセル・フィルハーモニックの首席客演指揮者を務める。また、スコラ・カントルム、リヨン音楽院などでも後進の指導にあたっている。フランス芸術文化勲章受章。2019年にはドイツ・レコード批評家賞(Deutsche Schallplattenkritik)受賞。(輸入元情報)Powered by HMV