ヴェルディ:レクィエムマゼール&ミュンヘン・フィル、同合唱団2014年7月13日に亡くなったマゼールがその5か月前にミュンヘン・フィルと演奏したヴェルディのレクィエムが登場。 マゼールはヴェルディのレクィエムを1960年にはすでにとりあげており、その後も何度も実演では指揮していましたが、パッケージ・ソフトでは、1990年のヴェローナ野外劇場での映像と、2007年サン・マルコ大寺院での映像があったのみなので、今回のコンサート・ホールでのライヴ録音の登場は歓迎されるところです。 ミュンヘン・フィル&合唱団によるヴェルディのレクィエムといえば、チェリビダッケが1993年に同じガスタイクでライヴ録音したものがあり、演奏時間も約98分と長大でしたが、今度のマゼール盤は約92分とそこまで長くは無く、マゼールらしい起伏の大きなテンポ配分になっているものと思われます。 ソリストには、バレンボイム指揮ミラノ・スカラ座とのヴェルディのレクィエム(DECCA)でも見事な歌唱を聴かせていたソプラノのアニア・ハルテロス、アバド指揮ベルリン・フィルとのヴェルディのレクィエム(EMI)でもその巨体から繰り出される美声が聴きものだったメゾ・ソプラノのダニエラ・バルチェッローナ、ティーレマンとスクロヴァチェフスキの第九で歌っていたバスのゲオルク・ツェッペンフェルトのほか、2013年の新国立劇場での『リゴレット』のマントヴァ公で高く評価され、朝青龍そっくりという点でも話題になったテノールのウーキュン・キムが起用されています。(HMV)【収録情報】● ヴェルディ:レクィエム [92:30] アニヤ・ハルテロス(ソプラノ) ダニエラ・バルチェッローナ(メゾ・ソプラノ) ウーキュン・キム(テノール) ゲオルク・ツェッペンフェルト(バス) ミュンヘン・フィルハーモニー合唱団 ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団 ロリン・マゼール(指揮) 録音時期:2014年2月6日 録音場所:ミュンヘン、ガスタイク 録音方式:ステレオ(デジタル/ライヴ)【マゼール・プロフィール】1930年代1930年3月6日、パリ近郊で、ユダヤ系でロシア系の父と、ハンガリー系でロシア系の母の間に誕生し、ほどなくアメリカに移住。ピッツバーグで育ったマゼールは、幼少期から音楽的才能を示し、4歳でピアノ、5歳でヴァイオリン、7歳で指揮を学び、8歳でアイダホの大学のオーケストラを相手にシューベルトの『未完成』で指揮者デビュー。翌年にはニューヨークの世界博覧会に出演してオーケストラを指揮、天才少年指揮者として大きな話題となりました。1940年代10歳のときにNBC交響楽団の夏期公演でも指揮、続いてニューヨーク・フィルも指揮して注目を集めます。 しかしマゼールはその間も学業は継続、ピッツバーグ大学に在籍して哲学や語学など学ぶ一方で、バカレイニコフに就いて指揮とヴァイオリンの研鑽を積み、ピッツバーグ交響楽団でもヴァイオリン奏者として演奏、さらにアート弦楽四重奏団も結成するなどして活躍、1949年にはピッツバーグ交響楽団副指揮者となっています。1950年代1952年にイタリアに留学してバッハなどバロック音楽を勉強、帰国後はボストンのバークシャー音楽センターでさらに指揮を学び、1953年にはイタリアでも指揮者デビューして成功を収め、それがきっかけとなってヨーロッパ各地のオーケストラに客演を重ね、次第に知名度を高めて行きます。レコーディングなどマゼールのレコーディング・デビューは、1957年、DGへのベルリオーズ『ロメオとジュリエット』抜粋ほかを収めたアルバムで、ベルリン・フィルとの録音でした。このデビュー盤はモノラルでしたが、当時のレコード業界は本格的にステレオ録音を導入しはじめた時期だったこともあり、マゼールはこの時期、主にベルリン・フィルを指揮して数多くのステレオ録音を残すこととなります。 その他の録音では、シュトゥットガルト放送響とのバルトークのオケコン&ベト2、コリオラン(1958 LIVE)も聴くことが出来ます。1960年代1960年、マゼールは史上最年少でバイロイト・デビューを果たし、1963年にはザルツブルク音楽祭にも出演したほか、ベルリン・ドイツ・オペラ日本公演ではベームらと共に来日、『トリスタンとイゾルデ』の日本初演をおこなった後、東京交響楽団、読売日本交響楽団、日本フィルハーPowered by HMV