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ヘルマン・アーベントロート/ブラームス交響曲第1・3・4番、ハイドン変奏曲(2CD)アーベントロートがドイツのエテルナ・レーベルでレコーディングしたブラームスの3つの交響曲とハイドン変奏曲は、セッション録音のためモノラルながらバランスの良い聴きやすい音質として知られています。  今回は「エテルナ・オリジナル・マスター・シリーズ」からの登場で、マスターテープから新たなマスタリングがおこなわれているため、音質向上が期待されるところです。  アーベントロートのブラームス演奏では、個性際立つ交響曲第1番がなんといっても有名です。その多彩をきわめた表現の背景には、以下のような事柄の影響があると思われます。◆ブラームス本人がマイニンゲン宮廷楽団に客演した際、楽譜に無いことをあれこれ指示。          ⇓◆ブラームスの指示などをシュタインバッハが自身の楽譜に書き込み。          ⇓◆ブルーメがそのシュタインバッハの楽譜や指揮、口伝などをもとにまとめて1933年に人智学系出版社から謄写印刷で刊行。上記のブラームス系伝承に加えて、以下のような事情もあります。◆アーベントロートはシュタインバッハの後任としてケルンで長く仕事。◆アーベントロートがシュタインバッハと接触したり演奏を聴いたりした可能性は非常に高い。◆ブラームス本人が自作の指揮者として最も好んだのはビューローだったというのは当時有名な話。◆ビューローの指揮は緩急自由でかなりぶっとんだものだったそうで、ブラームス本人は実直なハンス・リヒターの指揮には不満を表明し、ビューローを称えるのが常。◆ビューローはニキシュよりも人気があり、ギャラも当時最高(ニキシュのボストン響音楽監督年俸1万ドルに対し、ビューローの北米客演報酬は6週間滞在で1万3千ドル、マネジメントも1万2千ドルの利益を得ています)。◆20世紀初頭にマックス・フィードラー[1859-1939]がビューロー系ともいえる自由な演奏でドイツで高い評価を獲得。フィードラーはブラームスの知人でもあり、録音も存在。こうした流れの中で、ブラームス系伝承を勘案しながらも、伝説のビューローを意識して自由に形成したのが、アーベントロート独自の境地ともいえるこれらの演奏なのかもしれません。  おかげで有名な交響曲第1番第4楽章の主部第1主題も、万感の思いを込めて歌い抜かれています。  下の楽譜画像はその第1主題が開始される部分ですが、新たなマスタリングで音質が向上すれば、弦の美しいサウンドもさらに際立つのではないかと思われます。なお、ブックレットには使用したマスターテープの箱の写真も掲載されており、歴史的ドキュメントとしてのリアリティもあります。マスタリング・エンジニアはいつものクリストフ・シュティッケルが担当。 収録情報ブラームスDisc 1●交響曲第1番ハ短調 op.681.1 Un poco sostenuto-Allegro2.2 Andante sostenuto3.3 Un poco Allegretto e grazioso4.4 Adagio-Allegro non troppo, ma con brioライプツィヒ放送交響楽団録音:1949年10月20日、ライプツィヒ放送スタジオプロデューサー、エンジニア:ザッハー●ハイドンの主題による変奏曲 op.56a5.Thema: Chorale St. Antonii. Andante6.Var I. Poco piu animato7.Var II. Piu vivace8.Var III. Con moto9.Var IV. Andante con moto10.Var V. Vivace11.Var VI. Vivace12.Var VII. Grazioso13.Var VIII. Presto non troppo14.Finale. Andanteライプツィヒ放送交響楽団録音:1949年12月29日、ライプツィヒ放送スタジオプロデューサー、エンジニア:国家放送委員会Disc 2●交響曲第3番ヘ長調 op.901.1 Allegro con brio 2.2 Andante 3.3 Poco allegretto 4.4 Allegroライプツィヒ放送交響楽団録音:1952年3月17日、ライプツィヒ、コングレスハレプロデューサー、エンジニア:国家放送委員会●交響曲第4番ホ短調 op.985.1 Allegro non troppo 6.2 Andante Powered by HMV
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