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ゆったりかまえた美しい演奏で味わうマニャールの室内楽マニャール:チェロ・ソナタ、ピアノ三重奏曲カミッラ・パトリア(チェロ)、トリオ・メッゼーナ、パトリア、バッラーリオフランス近代の作曲家マニャールの音楽は、フランクの影響を感じさせる骨太系の親しみやすいもの。このCDに収められたチェロ・ソナタ、ピアノ三重奏曲はマニャールの室内楽の代表的な作品で、特にチェロ・ソナタは美しい旋律から情熱的な盛り上がりまで起伏も大きく聴きごたえがあります。ブックレット(英語)には、ピアニストのエレナ・バッラーリオによる解説が掲載されています。マニャールマーラーと同世代の作曲家、アルベリック・マニャール[1865-1914]は、近代フランス音楽にドイツ後期ロマン派の語法を取り入れたような独特の作風で知られています。マニャールは最初、法律学校を出て学位を取得しますが、その後、パリ音楽院に入学してデュボアに和声を、マスネに作曲を学び、卒業後は、ヴァンサン・ダンディに4年間作曲を師事します。作曲家の道を選んだ直接のきっかけは、バイロイトでワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」を聴いたことだったとも伝えられています。  マニャールは交響曲における後期ロマン主義的作風とコラールの使用などにより、「フランスのブルックナー」などと呼ばれることもあります。実際にはブルックナーよりもフランクに近いスタイルといえ、また、若い頃は当時のフランスで流行していたワーグナーの音楽に夢中になったこともあってか、自作のオペラにもワーグナーのライトモーティーフを思わせる手法が採用されていました。  自身が30代で難聴になってしまったという事情もあり、ベートーヴェンを深く尊敬していたというマニャールの作風には、たぶんにドイツ=オーストリア系作曲家の影響が見受けられますが、室内楽作品などで顕著なように、ベースとなっているのはあくまでも当時のフランスの作曲家ならではの明晰なスタイルといえるのではないでしょうか。  やがて、1896年にはスコラ・カントルムの対位法の教授に就任し、セヴラックなどを教えますが、生活の中心は自宅での作曲活動であり、自費で自作のコンサートを開いたり、作品の出版などもおこなうものの、ごく一部の人々を除いて批評家・聴衆共に理解を得られませんでした。  幻滅したマニャールは、別荘にこもって作曲し、外界との接触を少なくして芸術至上主義的傾向をいっそう強めていきますが、そんな中、第1次大戦勃発の年に、家族を疎開させ1人で滞在していた別荘に侵入してきたドイツ兵と交戦状態になり、2人を射殺するものの、残りの兵によって屋敷に火を放たれ、数々の作品と共に焼き殺されてしまいます。悲劇的というほかない最期を遂げたマニャールですが、残された作品はどれも見事なもので、フランス的な響きと、表現力豊かな旋律、それにドイツ的な形式美が備わるという稀有な美質を湛えたその世界は、マニャールならではの素晴らしさです。▶ マニャールを検索 演奏者情報◆ トリオ・メッゼーナ、パトリア、バッラーリオチェロのセルジオ・パトリアとピアノのエレナ・バッラーリオは1988年から夫婦で演奏しており、そこに世界的なヴァイオリニストのフランコ・メッゼーナが加わって2016年に結成。◆ カミッラ・パトリアチェロのセルジオ・パトリアとピアノのエレナ・バッラーリオの娘。2006年から父親にチェロを習い、2020年にはトリノ音楽院でディプロマを取得。その間、国内のコンクールで入賞し、2019年にコントラバス奏者のトンマーゾ・フィオリーニとともにデュオ・インコントラを設立。2020年からはヴァイオリニストのニコラ・マルヴリ、ピアニストのティツィアナ・コロンブロとともにモルゲン・ピアノ・トリオを結成。以後、ソロと室内楽の両方で活動しています。 トラックリスト (収録作品と演奏者)アルベリック・マニャール [1865-1914]◆ チェロ・ソナタ イ長調 Op.20 (1908-10Powered by HMV
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