クレンペラーと超豪華キャストによる名盤『魔笛』が、お買い得価格になって再発売『魔笛』という作品の奥深さ・可能性をいろいろと体感させてくれる演奏。舞台の無いレコードでは必要無いと、台詞を全部カットした結果、モーツァルトの音楽が連続することとなり、それぞれの曲が切れ目なしに続々登場するのは、雰囲気の持続という意味合いでもやはり効果的。 さらにそこで示されるクレンペラーの解釈もユニークで、通常コミカルな“フムフム...”といった曲でさえ、実に美しい響きと複合的な構造を持つことを如実に知らしめてくれるあたり、まさに比類がありません。 歌手陣も粒揃いで、共にデビュー間もなかったルチア・ポップの可憐な夜の女王に、ヤノヴィッツのどこまでも透明なパミーナ、こわいほどの迫力を備えたフリックのザラストロに、ゲッダによる端正なタミーノ、ベリーの愉快なパパゲーノ等々。侍女にまでシュワルツコップ、ルートヴィヒ、ヘフゲンというのような豪華なキャスティングはまさに超ド級。 余談ながら、このようなキャスティングとヘヴィーな演奏により、近年の演出でときおりみられる“夜の女王側=善”、“ザラストロ側=悪”という雰囲気が濃厚に感じられるのもこの録音の大きな特徴といえ、多層的な意味合いを持つとされる『魔笛』の様々な面が示された演奏としても、その価値には大きなものがあると思います。(HMV)オリジナル・マスターテープより、2016年アビー・ロード・スタジオ24bit/96kHzリマスター音源使用。歌詞対訳は付いておりません。(輸入元情報)【収録情報】● モーツァルト:歌劇『魔笛』 K.620 全曲 ニコライ・ゲッダ(タミーノ) グンドゥラ・ヤノヴィッツ(パミーナ) ヴァルター・ベリー(パパゲーノ) ルチア・ポップ(夜の女王) ゴットロープ・フリック(ザラストロ) フランツ・クラス(弁者) エリーザベト・シュヴァルツコップ(第1の侍女) クリスタ・ルートヴィヒ(第2の侍女) マルガ・ヘフゲン(第3の侍女) ルート=マルグレット・ピュッツ(パパゲーナ) ゲルハルト・ウンガー(モノスタトス) カール・リープル(第1の武者) フランツ・クラス(第2の武者) ゲルハルト・ウンガー(第1の僧侶) フランツ・クラス(第2の僧侶) アグネス・ギーベル(第1の少年) アンナ・レイノルズ(第2の少年) ジョゼフィン・ヴィージー(第3の少年) フィルハーモニア合唱団(コーラス・マスター:ヴィルヘルム・ピッツ) フィルハーモニア管弦楽団 オットー・クレンペラー(指揮) 録音時期:1964年3月、4月 録音場所:ロンドン、キングズウェイ・ホール 録音方式:ステレオ(アナログ/セッション) 音源:オリジナル・マスターテープより、2016年アビー・ロード・スタジオにて24bit/96kHzリマスターPowered by HMV