今をときめくイザベル・ファウスト最新盤注目のヴェーバー作品集!今もっとも輝いているヴァイオリニスト、イザベル・ファウスト。注目の最新盤は、ヴェーバーの作品集です。ドイツにおけるロマン主義運動の重要な先駆者であり、多芸多才な楽長、明晰な批評家として、さらには華々しいピアニストとしても活躍したヴェーバー。『魔弾の射手』やピアノ曲が非常に有名ですが、室内楽はわずか9曲(完成されたもの)しか残していません。そのうち8曲は、ヴェーバー自身、かなりの名手であった楽器、ピアノを含む編成のものとなっています。 イザベル・ファウストを中心とする豪華メンバーのこの録音では、ヴェーバーの才能の輝きに満ちた室内楽作品が、ファウストにしか奏でることのできないまばゆい音色に導かれ、いきいきと再現されています。メルニコフの溌剌とした気魄に満ちたフォルテピアノの音色も見事。なお、四重奏曲で共演しているヴィオラのボリス・ファウストは、イザベルの兄。そしてチェリストも来日経験もある中堅シュミットということで、注目盤の登場といえましょう。 6つのヴァイオリン・ソナタは、1810年の夏の終り頃、出版社のヨハン・アントン・アンドレの依頼を受けて作曲されたもので、家庭内で、いわゆるアマチュアの人々が音楽演奏を楽しむための楽曲がならびます。ヴェーバーはあまりこの仕事に乗り気ではなかったことが手紙などにも残されていますが、その内容は実に多彩で、ヴェーバーの才気に満ちたもの。カスタネットが打ち鳴らされるようなボレロ(第2番第1楽章のキャッラテーレ・エスパニョーロ)や、バラライカの音色を思わせるエア・リュス(第3番第1楽章)など、多国籍の情緒が感じられ、また、魅力的なメロディー、そこかしこに、魔弾の射手のアリアを彷彿とさせる華やかなパッセージも盛り込まれていて、「アマチュアのための」とされてはいますが、非常に充実した内容となっています。アンサンブルをたのしむことにも主眼がおかれた作品だけあって、ファウストとメルニコフとの、丁々発止のやりとりにも注目です! 四重奏曲は、1809年9月、ヴェーバーが22歳のときに完成された作品。なんといっても聴きどころは第2楽章。弦楽器の半音的な動きをみせるハーモニーに始まる印象的な問いかけにピアノが応えたかと思うと突然の休止小節、そしてピチカートによるカデンツァが続く、というなんとも謎めいた出だしの楽章です。この楽章だけ、1806年に完成、残りの楽章は後になって書かれたことがわかっています。ピアノの短い導入に始まり、瑞々しいロマンティックなメロディーのきらめきが美しい第1楽章、弦楽器の美しい音色が冴えわたる充実した第2楽章、エスプリの効いた短い第3楽章、そして、終楽章では、弦楽器3者のフーガ風なやりとりの中、ピアノが縦横無尽に華麗にかけめぐります。 ファウストの、どこまでもまっすぐな音色で奏でられるヴェーバーの書いた旋律美、メルニコフの才気と知性が冴えるピアノ・パート、そしてアンサンブルの妙。すべてがとびきりのクオリティのヴェーバー作品集。珠玉の1枚の登場です。(キングインターナショナル)【収録情報】ヴェーバー:・ヴァイオリンのオブリガートつきのピアノのための6つの段階的ソナタ(アマチュアのために作曲、捧げられた)op.10 第1番ヘ長調 op.10-1 第2番ト長調 op.10-2 第3番ト長調 op.10-3 第4番変ホ長調 op.10-4 第5番イ長調 op.10-5 第6番ハ長調 op.10-6・四重奏曲(ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロとピアノのための)変ロ長調 op.8 イサベル・ファウスト(ヴァイオリン/1704年製ストラディヴァリス「スリーピング・ビューティ」) アレクサンドル・メルニコフ(フォルテピアノ/Lagrassa 1815年頃、エドウィン・ボインクのコレクションより) ボリス・ファウスト(ヴィオラ/ガエターノ・ポラストリ) ヴォルフガング・エマニュエル・シュミット(チェロ/マッテオ・ゴフリラー) 録音時期:2011年6月 録音場所:ベルリン、テルデックス・スタジオ 録音方式:ステレオ(デジタル/セッション) ジャケット絵画:ロヴィス・コリント[1858-1925]:ヴァイオリンを弾く女(1900年)【イザベル・ファウスト(ヴァイオリン)】今もっともかがやいているヴァイオリニスト。1987年、15歳のとき、レオポルト・モーツァルト・コンクール優勝。1993年パガニーニ国際コンクール優勝。クリストフ・ポPowered by HMV最高の音で楽しむために!