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フリーデマン・バッハを名手に育てたオルガン曲集J.S.バッハ: トリオ・ソナタ集 BWV 525-530マヌエル・トマディン (オルガン)バッハの子煩悩が生んだ傑作バッハの「オルガン・ソナタ集」BWV 525〜530は、長男フリーデマンのオルガン演奏技術を完成させる目的で書かれたとされる曲集。イタリア的な3楽章形式を採用したソナタ6曲で構成されており、「右手」「左手」「両足」で、3つのパートを独立的に演奏することから「トリオ・ソナタ」と呼ばれています。  フリーデマンの意欲を高めるためか、オリジナルはバッハの過去作のキャッチーなものが中心で、そのため曲調も親しみやすく魅力的。モーツァルトが第2番の第2楽章と第3楽章、第3番の第2楽章を弦楽三重奏用に編曲しているほか、数多くの編曲ヴァージョンが生み出されてもいます。気温17.5度、湿度72%ブックレットには録音時の気温と湿度まで書かれています。確かに気温と湿度は音に影響するとは言われていますが、このこだわりの姿勢は立派で、肝心の音質の方も見事なものとなっています。多彩なストップの生々しいサウンドがナチュラルな間接音と共に響き渡り、有名な第2番第2楽章ラルゴなど実に気持ちが良いです。博識トマディンこれまで、ハスラー全集(11CD)、マルティーニ全集(9CD)、クレープス全集(7CD)、エルバッハ全集(9CD)、ファン・ノールト全集(2CD)、ライプツィヒ・コラール集(2CD)など多くのオルガン・アルバムを制作してきたイタリアの博識な名手、マヌエル・トマディンが、オランダのフォレンホーフェにある聖ニコラス大教会のA.ボッシュ/F.C.シュニットガー・オルガンを演奏しています。▶ Brilliant Classics 検索 作品情報フリーデマンのための音楽ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハ[1710-1784]は長男だったこともあって、バッハは情熱的に教育に取り組み、ケーテンで宮廷楽長を務めていた1720年からフリーデマンのクラヴィーア演奏技術向上のために「ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハの音楽帖」の編纂を始めています。  その後、ライプツィヒの「市の職員」である「トーマスカントル (トーマス学校の教職者とトーマス教会合唱団の指揮者)」就任が決まると、ケーテンの宮廷を辞め、フリーデマンをトーマス学校に入学させて教育を続け、さらにオルガン演奏の仕上げとして書かれたのがこの「6つのオルガン・ソナタ集 (トリオ・ソナタ集)」とされています。  その甲斐あってか、フリーデマンは1733年にドレスデンの聖ソフィア教会のオルガニスト職を決める選考会で、父親の「前奏曲とフーガ ト長調 BWV 541」を演奏して他の2人の候補者よりも明らかに優れていると評され任命されています。フリーデマンはその後も高名なオルガニストであり続けました。 楽器情報アムステルダムの東北東約80kmに位置するフォレンホーフェにある聖ニコラス教会は1485年に建設された歴史ある教会。幾度かの改修を経て現在も美しい姿を維持しています。  聖ニコラス教会は2つの身廊を持つ修道院タイプの建築で、オルガンは1686年に北側の身廊に設置。製作者はアムステルダムのアポロニウス・ボッシュ[1620-1699]。  設置から34年後の1720年、フランツ・カスパー・シュニットガー[1693-1729]に再建が依頼され、修復のほか新たなストップの追加など大幅な改修がおこなわれています。高名なアルプ・シュニットガー[1648-1719]の息子であるフランツ・カスパーは、父を凌ぐ力量の持ち主とも言われましたが、36歳で亡くなっているため作品は限られています。  多くのオルガンと同じく、このオルガンも19世紀には管長を詰める (ピッチを上げる)など、何度も改造されて姿を変えていきますが、1977年、ユトレヒトにオルガン工房を構えるファン・フルペン兄弟によって、シュニットガーの1720年の状態まで楽器が復元されたのは朗報でした。  ファン・フルペン兄弟は、元のピッチである「a'=415Hz」まで戻すためにすべてのパイプを長くし、さらにバッハ調律ともいわれる「ヴェルクマイスターI」の音律で調律Powered by HMV
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