これが古楽オペラ界の最前線!ヘンデルに挑んだポルポラの強烈なオペラ書法、そのすべてを音にした圧倒的演奏。ツェンチッチの大企画『ポリフェーモ』名カウンターテナー、ツェンチッチがアーティスティック・ディレクターを務める「PARNASSUS ARTS」からニコラ・アントニオ・ポルポラの3幕のオペラ・セリア『ポリフェーモ』が登場。2021年のバイロイト・バロック・オペラ・フェスティヴァルでも披露された演目で、当代随一の歌手が結集した古楽オペラ・ファン垂涎のたまらない内容です。 1730年頃、イギリスでは絶大な人気を誇っていたヘンデルに対抗する団体として「貴族オペラ」が設立されました。ポルポラはこの団体お抱えの作曲家としてロンドンで5つのオペラを作曲、その最後の作品が『ポリフェーモ』です(1735年初演)。ヘンデルがバレエや合唱を巧みに用いて人気を得ていたのに対し、貴族オペラは歌手の技巧で勝負。声楽教師でもあったポルポラに師事し、伝説的カストラートとして名を残すファリネッリもここで大いに活躍、バロック・オペラ黄金期が築かれることになります。 「ポリフェーモ(ポリュペモス)」はキュクロプス(サイクロプス)のことで一つ目の巨人。物語はこの巨人が登場する2つのギリシア神話が組み合わされています。まずニンフのガラテアと羊飼いのアーチ(エイシス)の恋仲を邪魔するポリフェーモの話。巨人が岩を投げアーチを殺してしまいますが、アーチは川の神として復活するというもの。次にウリッセが出てきてポリフェーモにワインを飲ませ酔っぱらわせ、目を潰し撃退するという八岐大蛇的物語が続きます。 演奏は言わずもがなたいへん充実。器楽も声楽も物語の展開に合わせ変幻自在に音楽を繰り出してきます。技巧的なアリアから叙情的に歌いあげるアリアまで、役者それぞれの歌の多彩さにも注目です。映画「カストラート」の日食シーンでも有名なアーチのアリア『アルト・ジョーヴェ』は、スローテンポの音楽にのった歌声がぐさりと胸を突きぬく迫真の出来。(輸入元情報)【収録情報】● ポルポラ:歌劇『ポリフェーモ』全曲 アーチ:ユーリ・ミネンコ(カウンターテナー) ウリッセ:マックス・エマヌエル・ツェンチッチ(カウンターテナー) ポリフェーモ:パヴェル・クディノフ(バス) ガラテア:ユリア・レージネヴァ(ソプラノ) カリプソ:ソーニャ・ルニェ(コントラルト) ネレーア:ナレア・ソン(ソプラノ) アルモニア・アテネア ジョルジュ・ペトルー(指揮) 録音時期:2021年7月1-3,5,9日、8月20日、2022年8月23-27,29日 録音場所:アテネ・コンサートホール 録音方式:ステレオ(デジタル)Powered by HMV