CD4枚分が初登場の新録音、英文ブックレットは充実の48ページウィリアム・バード:チェンバロ&オルガン曲全集(9CD)ピーター=ヤン・ベルダー(チェンバロ、ヴァージナル、オルガン)9枚のうち4枚が初登場の新録音で、ほかは既発売。内訳は、「オルガン曲集」の新録音がCD2枚分、「フィッツウィリアム・ヴァージナル・ブック」などからの新録音がCD2枚分で、「フィッツウィリアム・ヴァージナル・ブック」の既発売分がCD2枚分、先に発売されていた「ネヴェル夫人の曲集」がCD3枚分というもの。全集にまとまるとなにかと便利です。ちなみにケースの鳥の絵は、ベルダーの掛け軸コレクションに含まれる日本の作品に描かれていたカワセミの画像です。 博識なベルダーの演奏は、イギリス・ルネッサンス後期の記念碑的な曲集にふさわしい品格のある安定したもので、それぞれの曲の性格に合わせて楽器も選定しています。使用楽器は以下の通りです。【スピネット・ヴァージナル】◆ 1段鍵盤 ルッカース 1604(オリジナル)【ミューゼラー(ヴァージナルに似た楽器。鍵盤は右側)】◆ 1段鍵盤 ルッカース・モデル(テオ・デ・ハース 1980)◆ 2段鍵盤 ルッカース 1623 モデル(ハンス・ニーウェンハイゼン製作 2021)【チェンバロ】◆ 1段鍵盤 イタリア・チェンバロ / コルネリス・ボム 2003(オリジナル)◆ 1段鍵盤 ピサウレンシス・モデル / ヴェネツィア・チェンバロ(ヘルウィル・ファン・ヘルダー 1997)◆ 1段鍵盤 ルッカース 1637 モデル(ヘルハルト・ボーハールト 2012)◆ 1段鍵盤 ルッカース 1611 モデル(デレク・アドラム 1970)◆ 2段鍵盤 ルッカース 1638 モデル(アドラム・バーネット 1980)【オルガン】◆ 2段鍵盤 アルベルト・キースペニング・オルガン▶ Brilliant Classics 検索 録音会場新録音のCD1とCD2の録音会場はマインスヘーレンラントのオランダ改革派教会。 作曲者情報【簡易年表】1540年頃(0歳)◆ イングランド王国(927-1707)のおそらくロンドンで、トーマス・バードとその妻マージェリーのもとに誕生。比較的裕福で、2人の兄弟はセント・ポール大聖堂の聖歌隊員になるという音楽的な家庭でもありました。肝心のバードについてははっきりしていませんが、セント・ポール大聖堂の聖歌隊員か、トーマス・タリス[1505-1585]のもとで王室礼拝堂の聖歌隊員として歌い、変声後に助手として留まって指導を受けた可能性もあると推測されています。1563年(約23歳)◆ ロンドンの約200km北に位置するリンカン大聖堂のオルガニスト兼合唱団長に任命。1568年(約28歳)◆ 9月14日、リンカンで結婚。妻のジュリアナはリンカンシャーのバーリー家の出身。この結婚によって少なくとも7人の子供が生まれています。1569年(約29歳)◆ 11月19日、学長と教区長からバードの行動に疑惑のある事が非難され、給与停止処分となります。リンカンではピューリタニズムの影響が強かったので、疑惑の内容は、バードの凝りすぎた合唱のポリフォニーやオルガン演奏に関連していたと推測されています。1569年(約29歳)◆ 11月29日、典礼におけるバードのオルガンの使用に関して詳細な指示が出されています。1570年代初頭(30代前半)◆ トマス・パジェット卿などカトリックの貴族などと交流。1572年(約32歳)◆ イングランド王国最大の聖歌隊である王室礼拝堂でオルガン演奏や指揮などの仕事をする「ジェントルマン」に任命。終身雇用かつ高額の報酬が支払われるポストでした。1575年(約35歳)◆ バードとタリスに対し、21年間の楽譜と楽譜用紙の印刷の独占権を王室が付与。Powered by HMV