ロマン派ヴァイオリン・ソナタの傑作をリアルな演奏でグリーグ:ヴァイオリン・ソナタ全曲ジェルマーナ・ポルク・モラーノ&ブルーノ・カニーノ演奏家の解釈のために、楽譜の強弱や繰り返し指定がぞんざいに扱われたり、細かな部分が弾き飛ばされたりすることも多いヴァイオリン作品ですが、ここではイタリアのジェルマーナ・ポルク・モラーノとブルーノ・カニーノがグリーグの楽譜を尊重したアプローチで作品のリアルな姿を丁寧に表現。 3つのヴァイオリン・ソナタはグリーグのお気に入りだった作品で、以下のようなことを述べてもいました。「ヴァイオリンとピアノのための3つのソナタは、私の最高傑作のひとつであり、私の成長の段階を表しています。第1番はまだ純朴でお手本通りのところが多く、第2番は国民的(民俗的)、第3番はより広い視野を持ったものです。」▶ Brilliant Classics 検索 作品情報◆ ヴァイオリン・ソナタ第1番(トラック1〜3)グリーグはライプツィヒ音楽院で学んだのち、デンマークのコペンハーゲンに移り住みニルス・ゲーゼらと交流。1864年には友人たちと北欧音楽の普及を目的とした「エウテルペ協会」を設立し、民俗音楽とクラシック音楽の組み合わせを追及するようにもなります。 ヴァイオリン・ソナタ第1番は、デンマーク時代2年目の1865年夏に作曲。ドイツ音楽の影響が色濃く残るものの、グリーグらしい北欧的な要素も盛り込まれた力作です。初演は同年11月中旬にライプツィヒのゲヴァントハウスでおこなわれ、評判は上々でした。◆ ヴァイオリン・ソナタ第2番(トラック4〜6)グリーグは1867年6月にいとこのソプラノ歌手ニーナ・ハーゲルップと結婚し、7月にヴァイオリン・ソナタ第2番をクリスチャニア(現オスロ)で3週間という短期間で作曲しています。構造と形式は2年前の第1番と似ていますが、扱う素材はノルウェー的なものが多く、民俗音楽のリズムが作品を大きく特徴づけています。 ここまで民俗音楽にこだわった背景には、前年3月に「エウテルペ協会」メンバーのノルドクラーク(ノルウェー国歌の作曲者)が23歳の若さで結核のため亡くなってしまったことが影響しているかもしれません。◆ ヴァイオリン・ソナタ第3番(トラック7〜9)ヴァイオリン・ソナタ第3番は第2番の20年後、44歳になった1887年に作曲。グリーグは1884年にベルゲン南部に土地を購入して自宅「トロールハウゲン」を建て、そこを拠点に夫婦で国際的な演奏活動をおこなっていました。 作曲のきっかけとなったのは、トロールハウゲンを訪れた20歳のイタリア人女性ヴァイオリニスト、テレジーナ・トゥーアによるヴァイオリン演奏でした。グリーグの作曲技法は熟達し、民俗的な要素とクラシック音楽のスタイルを見事に融合させています。 演奏者情報◆ ジェルマーナ・ポルク・モラーノ(ヴァイオリン)1988年生まれ。2006年にベルガモ音楽祭管弦楽団のヴァイオリン奏者としてイタリア、日本、スウェーデンのツアーに参加。2010年にはベルガモのG.ドニゼッティ高等音楽研究所で最高の成績で学位を取得、最も優秀な卒業生としてベルガモ市がロータリー賞を授与。 第11回国際音楽コンクール・イタリア・フェスティヴァルで優勝し、特別賞「ソリストとオーケストラ」も受賞。第30回ミケランジェロ・アバド国際ヴァイオリニスト・コンクールでは第3位(第1位、第2位は無し)を獲得。 以後、ソリスト、室内楽奏者としてヨーロッパ各国とアメリカ、アジアなどで世界的に活動。 レコーディングでは、2016年にアレンスキーのピアノ三重奏曲集をブリリアント・クラシックスで録音していたほか、2018年にダ・ヴィンチ・クラシックスでニールセンのヴァイオリン・ソナタ全集を録音。2019年にもダ・ヴィンチ・クラシックスで、ジャコモ・メルキのヴァイオリンとギターのための作品を録音していました。Powered by HMV