パトレイア王国第四王女ヘレナは傲慢で癇癪持ちと悪評高く、“悪辣姫”と呼ばれていた。そんな彼女が隣国ディノス王国の辺境伯、アレンデール・モレルに嫁ぐこととなった。人質のような形で結ばれた政略結婚。そんな彼女は初夜の場で提言をする。「私に離れのような居を与えていただきたいのです。そして旦那様は恋人の女性と本宅で暮らしていただければよいかと」その静かな声音も、表情も、アレンデールが知る『悪辣姫』の噂とは異なり彼を混乱に陥れる。なぜならば、彼女は本当はーー温かな家庭への憧れ以外は何もかもを諦めてしまったただの孤高の王女に過ぎなかったのだから。噂に塗り固められた“悪辣姫”によるウェディング・ラブストーリー!