ワーグナー:『ニーベルングの指環』管弦楽作品集(2CD)フィリップ・ジョルダン&パリ・オペラ座、ニーナ・ステンメスイスの指揮者フィリップ・ジョルダンは、1974年に名指揮者アルミン・ジョルダンの息子としてチューリヒに誕生。幼少期からヴァイオリンとピアノを習い始め、16歳からはチューリヒ音楽院で理論やピアノを学んでおり、さらにジェフリー・テイトがシャトレ座でおこなった『ニーベルングの指環』全曲上演でアシスタントをつとめるなどして早くから経験を積んでいます(ちなみにそのジェフリー・テイトは、ブーレーズがバイロイトで『ニーベルングの指環』を全曲上演した際のアシスタントでもありました)。 フィリップ・ジョルダンのプロとしてのキャリアは、1994年、南ドイツのウルム州立劇場カペルマイスターとして始まり、翌年のブリュッセルのモネ劇場客演を皮切りに、パリ、ウィーン、ドレスデン、ジェネーヴの劇場にも出演しています。 その後、2001年にグラーツ歌劇場の首席指揮者となり、2009年にはパリ国立オペラ座の音楽監督に就任、その間、英米のオペラハウスにもデビューして名声を世界的なものとし、パリ国立オペラ座での実績も着々と積み上げて、現在では2018年までの契約延長が決まっているといいますから、その人気にはかなりのものがありますし、さらに2014年からはウィーン交響楽団首席指揮者に就任ということなので、欧州での評価はきわめて高いものと考えられます。 今回登場するワーグナー・アルバムは、オペラの世界ですでに20年以上も過ごしているジョルダンの個性をフルに発揮するものと思われ、映像作品『トリスタンとイゾルデ』と『タンホイザー』で聴かせていた、余裕のあるテンポでドラマと響きの変化を巧みに紡ぎ出す、父ジョルダンのワーグナー演奏にもどこか通じるアプローチによる高水準な演奏が期待できるところです。 また、『ブリュンヒルデの自己犠牲』にニーナ・ステンメを起用しているのも注目で、ここ10年ほど世界的に活躍するワーグナー・ソプラノの第一人者の見事な歌でアルバムが締めくくられるのはなによりの贅沢といえそうです。(HMV)【収録情報】ワーグナー: 1. 『ラインの黄金』より『前奏曲とワルハラ城への神々の入場』2. 『ワルキューレ』より『ワルキューレの騎行』3. 『ワルキューレ』より『魔の炎の音楽』4. 『ジークフリート』より『森のささやき』5. 『神々の黄昏』より『ジークフリートのラインへの旅』6. 『神々の黄昏』より『ジークフリートの葬送行進曲』7. 『神々の黄昏』より『ブリュンヒルデの自己犠牲』 ニーナ・ステンメ(ソプラノ:7) パリ国立オペラ座管弦楽団 フィリップ・ジョルダン(指揮) 録音方式:ステレオ(デジタル)Powered by HMV