本書では,生理学的な枠組みを基本とし,体育学やスポーツ科学を学ぶ方々に向けて,大学での講義における運動生理学の基本的内容をまとめました。各章の末尾には復習問題を付け,知識の確認ができるようにしてあります。 執筆者らは,体育系学部で,自らもスポーツや運動の実践場面に身をおきながら,生理学,運動生理学,特にトレーニング科学,健康科学,脳神経科学を専門分野として教育と研究に関わってきました。近年の生活環境の変化に伴い,運動不足や体力低下が指摘される一方で,健康志向の高まりや競技スポーツの高度化など,私たちの身体を取り巻く環境は多様化しています。トップアスリートとして活躍する学生,指導者や教員を目指す学生,怪我と向き合う学生など,それぞれの目標や立場にあって,本書で学習した内容を,スポーツや運動に関わる事象を科学的,論理的,分析的に考える材料にしていただくことを本書のねらいとしています。第1章 運動とコンディショニング 1-1. 生体の恒常性1-2. 体液・血液の量と組成1-3. 運動と体液成分1-4. コンディショニング1-5. 運動・栄養・休養のバランス確認問題第2章 運動とエネルギー供給機構2-1. 生体のエネルギー2-2. 運動時のエネルギー供給系確認問題第3章 運動と骨格筋系 3-1. 骨格筋の構造と機能3-2. 骨格筋の収縮機構 3-3. 骨格筋線維タイプ3-4. 骨格筋の適応変化3-5. 筋力トレーニングとその効果確認問題 第4章 運動と神経系4-1. 神経の生理学4-2. 感覚系4-3. 自律系4-4. 運動系4-5. 運動・トレーニングによる脳・神経系の適応変化4-6. 運動と認知機能確認問題第5章 運動と呼吸器系5-1. 呼吸の生理学5-2. 運動時の呼吸動態5-3. 呼吸器系の運動適応変化確認問題第6章 運動と循環器系6-1. 循環器系の構造と機能6-2. 心臓血管系の変化と適応6-3. 血液成分の適応確認問題第7章 環境と運動7-1. 体温調節7-2. 運動時の体温調節7-3. 暑熱順化と運動トレーニング7-4. 寒冷環境と運動7-5. 低圧(高地)環境と運動7-6. 水中環境と運動確認問題第8章 運動と内分泌系8-1. 内分泌器官とホルモン8-2. 運動時の内分泌反応8-3. トレーニングによる影響確認問題第9章 運動と免疫系9-1. 免疫系9-2. 自然免疫と獲得免疫9-3. 体液性免疫と細胞性免疫9-4. 免疫系の異常9-5. 運動と免疫能確認問題 確認問題解答索引(コラム)アスリートの貧血 脂肪は運動開始20 分後から利用される?発育に伴う筋の変化筋電図と筋活動量の評価アスリートの遺伝子解析脚気一酸化炭素の影響(CO 中毒)トレーニングも継続は力なり昔取った杵柄は通用しない褐色脂肪とは?運動には順番がある「笑い」と「ユーモア」の力