本書は、中国語を初めて学ぶ人が基礎的な力を身につけるための初級テキストです。タイトルにある「カンフー」(功夫)とは中国武術のことで、武術の修行で技を磨くことを“练 功 夫”と言います。本書はこれから中国語を学ぶ皆さんが、カンフーを体得するように、単語や文法などを一つ一つ練習し、しっかりと中国語を身につけていただきたい、という願いを込めて、本書を「カンフー中国語」と名づけました。本書は、発音部分と本課部分(第一課〜第十五課)で構成されています。発音は、中国語を学ぶ上で最も基本となる部分です。中国語の発音は日本語にない発音が多く、難しく感じることもあるかもしれませんが、正確な発音ができると言いたいことがよく相手に伝わり、中国語でのコミュニケーションが一層楽しくなるはずです。すぐに嫌いにならず、ユニークな発音を楽しんでみましょう。また発音部分の最後に有名な唐詩(唐代の漢詩)を二首紹介しています。漢詩は唐代に最も流行し、音楽のようにも聞こえる美しい調べは、耳に心地良いものです。ぜひ声に出して読んだり暗誦にチャレンジしてみて下さい。本課は、【単語】【文法】【本文】【確認問題】と、段階的に学習できるような形式で進めていきます。最初に【単語】で新出単語を覚え、【文法】は各課4項目以内にしぼって集中的に学び、各所に配置したドリル形式の練習問題でそのつど学習内容を確認していきます。【本文】は会話形式で、食事や買い物、道の尋ね方など日常のいろいろな場面を意識して取り入れており、実践的にさまざまな表現を身につけることができます。また会話の最後には必要に応じてコラムなどを設けており、更に表現や知識の幅を広げられるよう工夫しています。さらに本書の特色として、本文は留学生田中君とカンフー少女の物語にしました。初めて中国に来た田中君が、カンフー少女に出会い中国でさまざまな体験をしていきます。皆様にも田中君の目を通してカンフー少女がいざなう中国世界を楽しんでいただけたらと思います。なお第五課からは、あえて【本文】に音(中国語の発音記号)をつけていません。中国の雑誌や小説などには、当然ながら音は書いてありません、発音が分からない漢字には、自分で音を書き入れて少しずつ覚えて頂き、いずれは音のない文章でも、漢字を見るだけで発音ができるようになってほしいと思います。【確認問題】では、【単語】【文法】【本文】で学習した事が正しく運用できるかを確認できます。特に第七課からはヒアリング問題も取り入れ、耳から中国語を聴いて理解できる力も養っていただきたいと思います。本書を繰り返し学習することで、中国語の基礎をしっかりと身につけていただき、皆さんの更なる学習の機会、様々なコミュニケーションの機会のお役に立ちましたら幸いです。