十二音技法による『アゴン』『レクイエム・カンティクルス』ギーレンのストラヴィンスキー後期作品集交響曲集に続く、ギーレンによるストラヴィンスキー第2弾。このたびはすべて十二音技法を採用した点で共通する、後期の3作品を取り上げています。 西洋音楽が後期ロマン派の時代を迎え次第に調性があいまいとなりつつあった19世紀末。調性音楽による表現に限界を感じたシェーンベルクが、無調を志向した末にやがて提唱、確立したひとつの回答。調性に替えて十二平均律のオクターヴ内にある12の音を同等に扱い並べて作る音列を基本とする。それが十二音技法でした。この20世紀西洋音楽史における最大の発明は表現の可能性を飛躍的に拡げるかたわら、約束事を根底から覆すものであるばかりか、耳にしての心地よさであるといった人間の生理を無視したものでもあったため、聴衆に受容され理解を得るまでにはなお多くの時を要することになります。Powered by HMV