『廃屋令嬢』と蔑まれても誇りを失わず生きてきた雛は、冷酷な実業家の鷹と、契約でのみ結ばれた夫婦となった。けれど雛はその賢明な生き方で鷹を助け、鷹もまた雛に利用価値以上の、暖かな何かを見出しつつあった。 巷で浅草十二階が賑わう時分。宝石事業の展開に腐心する鷹のもとに、かつて彼を裏切った元婚約者の寧々が、資金と家柄を持って現れる。彼女は復縁を条件に、援助の契約を交わすという。そう、この嫁入りは契約だから、花嫁は自分でなくて良い。気付かされた雛に、鷹が示した態度はーー? 目次序章 二人の春第一章 浅草にて第二章 波乱の訪れ第三章 すれ違う心第四章 謀略の渦第五章 逆襲の舞踏会終章 ふたたび、浅草にて あとがき