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「戦争の諸相」では大砲の音を表現!ダンドリュー: クラヴサン曲集(4CD)ピーター=ヤン・ベルダー(チェンバロ)フランス・バロックのクラヴサン(=チェンバロ)音楽といえば、まるでエリック・サティのようなタイトルが付けられたクープランやラモーの性格的小品が有名ですが、同時代のダンドリューも負けていません。特に戦場の様子を描いた「戦争の諸相」の中の「攻撃」はチェンバロで模した大砲の音が印象的で、半世紀後に書かれたミシェル・コレット「海戦」での8和音13連発という衝撃作品に与えた影響も大きいものと思われます。しかもダンドリューの方は、クラスター奏法さながらに鍵盤の最低音部付近を手のひらで叩いても良いという指示までしているのです。今回、ベルダーの選択が、和音なのかクラスターなのか大いに注目されるところですが、何より素晴らしいのは全3巻のクラヴサン曲集がまとめて聴けるという事実でしょう。史上初の快挙です。▶ Brilliant Classics 検索 演奏について全3巻録音の快挙クープラン、ラモー級の充実作も多そうなダンドリューのクラヴサン曲集ですが、これまで各巻でまとまった録音は、オドブールが1970年代に録音した第1巻抜粋と第2巻抜粋、パッパスが2001年に録音した第1巻抜粋くらいしかなく、ほかは選曲集でした。  今回のBrilliant Classicsのセットは、クラヴサン曲集全3巻をCD4枚に収録するという大掛かりなもので、宮廷音楽家になって地位も安定し、1724年から10年がかりで全3巻の出版に取り組んだダンドリューの意気込みに迫る企画となっています。期待の「戦争の諸相」ダンドリューの曲の中でもよく知られていたのが、第1巻に含まれる「戦争の諸相」で、特に第5曲「攻撃」(CD1 トラック12)は、大砲の発射音の表現に関することでも有名でした。要はダンドリュー自身が手のひらクラスター奏法でも良いとしていたわけですが、これまで聴けた6種類の演奏の中ではパッパス盤のみがクラスター奏法で、ほかの5人は正統的に4和音の強奏で対応していました。  今回、ベルダーの選択が和音なのかクラスター奏法なのか注目されるところですが、和音の場合でも録音が優秀であれば、クラスター奏法に遜色はないですし、Brilliant Classicsのチェンバロ録音は高いクオリティで一貫してきたという実績もあります。  そして何より、今回は3巻揃った大規模なクラヴサン曲集の中での「戦争の諸相」という位置づけなので、和音強奏の方が適切なようにも思えます。  ちなみにこれまで容易に聴くことができた音源は以下の6種類です。  ポリーヌ・オベール(1935 Pathe)  ブリジット・オドブール(1977 Arion)  ジャン=パトリス・ブロス(1985 Pierre Verany)  イアコヴォス・パッパス(2001 Ogam)  ベティ・ブライランツ(2002 Pavane)  マルアン・マンカール・ベニス(2017 Encelade)豊富な実績バッハ一族やスカルラッティ、ソレールからイギリス音楽まで膨大な実績のあるベルダーは、フランス・バロックにも造詣が深く、すでにガスパール・ル・ルー[1660?-1707]の2枚組(4手作品中心)、ラモー[1683-1764]の3枚組、ジャック・デュフリ[1715-1789]の4枚組セットを制作済み。また室内楽奏者としてマラン・マレの作品の録音に参加してもいますし、ラモーのコンセールでは弾き振りで指揮もするなど、チェンバロ独奏だけにとどまらない幅広い音楽活動をおこなうベルダーのフランス・バロックでの実績にはすでに定評があります。 使用楽器についてフランス・バロック期の名職人、フランソワ・エティエンヌ・ブランシェ[1695-1761]が1733年に製作した有名な楽器のレプリカ。リュート・ストップも備えた2段鍵盤モデルで、オランダのティトゥス・クライネンが2013年に完成させています。  今回のCDボックスの表紙は、このレプリカ・チェンバロのベントサイド部分に描かれているクロカンムリヅルの絵でPowered by HMV
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