大胆なポルタメントとテンポの揺らぎ聴きなじんだ常識を払い失われた時を求めたとても挑戦的なブラームス演奏ヴァイオリニストであり指揮者であり教育者であり学者でもある異才ヨハネス・レールトーヴァー。彼は4年間にわたりブラームスの全交響曲・協奏曲を指揮しながら18〜19世紀の演奏の在り方について研究し、2023年1月にブラームスの管弦楽曲演奏に関する論文を発表、ライデン大学で博士号を取得しました。そして時を同じくして録音されたのがこのヴァイオリン・ソナタ集です。 集中的なブラームス研究の結果、この録音には今や失われて久しい、いにしえの演奏法が多分に取り入れられています。特に大胆なのはポルタメントの活用とテンポの柔軟性。シュポアやヨアヒムのメソッドでは、ポルタメントこそがヴァイオリニストにとって初歩的かつ最重要な表現手段であり、一方ヴィブラートはあくまで装飾的なものでした。またテンポ設定に関しても「機械的なメトロノーム表示と自分の血肉たる音楽にはまったく関連性がない」「まともな音楽家なら演奏のたびに異なるテンポを取るだろう」とブラームス自身が語っており、現代よりはるかに柔軟だったと考えられます。 さまざまな研究の成果を実際の演奏に落とし込むのは、聴いたことのない音楽を自ら創り出す作業でもあり、とても挑戦的なもの。聴きなじんだ常識を打ち破る新たなブラームス演奏が収められた意欲的なアルバムです。マルチチャンネル収録のSACDハイブリッド盤。(輸入元情報)【収録情報】ブラームス:● ヴァイオリン・ソナタ第1番ト長調 Op.78● ヴァイオリン・ソナタ第2番イ長調 Op.100● ヴァイオリン・ソナタ第3番ニ短調 Op.108 ヨハネス・レールトーヴァー(ヴァイオリン) ジュリアン・レイノルズ(ピアノ/1857年製ブリュートナー) 録音時期:2023年1月5-7日 録音場所:オランダ、ハールレム、福音ルーテル教会 SACD Hybrid CD STEREO/ SACD STEREO/ SACD SURROUNDPowered by HMV