20世紀の音楽思潮を決定づけたバルトークの傑作三部作2020年2月22日から3月4日にかけて、パーヴォ・ヤルヴィとNHK交響楽団は待ち望まれたヨーロッパ・ツアーを行ないます。2017年2月に続く第2回目のヨーロッパ・ツアーで、ヤルヴィの故郷タリンを皮切りに、ロンドン、パリ、ウィーン、ケルン、ドルトムント、アムステルダム、ベルリン、ブリュッセルとヨーロッパの音楽の中心地9都市を巡り、カティア・ブニアティシヴィリやソル・ガベッタとの華麗な共演とともに、メインのブルックナーの交響曲第7番とラフマニノフの交響曲第2番で「パーヴォ・ヤルヴィ+N響のいま」を披露します。第2回ヨーロッパ・ツアー敢行記念として、ヤルヴィが演奏活動と並行して制作を進めてきたN響とのアルバムの中から、マーラーの交響曲第6番とバルトーク・アルバムの2枚のインターナショナル・リリースが決定しました。「バルトークの3つのオーケストラ作品を集めたこのアルバムのテーマは、文字通り「民族音楽」といえよう。ここには生き生きと躍動し、軽みを帯びた〜しかし構造自体は極めて洗練された〜さまざまな種類のダンス・ミュージックが詰め込まれている。3曲ともバルトークの全作品の中でも重要な位置づけにあるが、20世紀音楽史においても最も良質な音楽なのだ。」〜パーヴォ・ヤルヴィ〜パーヴォ・ヤルヴィがNHK交響楽団(N響)の首席指揮者として取り上げてきたレパートリーの中で、マーラーやブルックナー、R.シュトラウスなどの後期ロマン派の作品、故国エストニア文化圏の音楽と並んで、最も力を入れているのが20世紀の音楽です。19世紀を通じて、ひたすら巨大化・複雑化の方向を目指して拡大路線で突っ走ってきたオーケストラ音楽が、一つの分岐点を向かえ、やがて様々な方向へと枝分かれしていくのが20世紀であり、N響というオーケストラのさまざまな特質のうちでも、最も優れたものの一つである機能性の高さ(それは「世界のトップ・オーケストラに匹敵するものだ」というのがヤルヴィの持論)をフルに生かすことができるレパートリーでもあります。 当アルバムはヤルヴィ自身が実現を鶴首していた「オール・バルトーク・プログラム」。ヤルヴィのバルトークといえば、シンシナティ響との個性的な彫琢を施した解釈(2005年テラーク・レーベルへの録音でカップリングはルトスワフスキ:管弦楽のための協奏曲)で知られ、2015年10月N響C定期での鮮やかな演奏を披露した『管弦楽のための協奏曲』がまず思い浮かびますが、バレエ音楽『中国な不思議な役人』(ヤルヴィは全曲ではなく、組曲版を取り上げる)、『ルーマニア民族舞曲』のほか、ジャニーヌ・ヤンセン、クリスティアン・テツラフやピョートル・アンデルジェフスキらヤルヴィお気に入りのソリストと共演の多い3つのピアノ協奏曲、2つのヴァイオリン協奏曲なども、バルトークの作品を愛してやまないヤルヴィの定番レパートリーです(ヤルヴィの「ウィッシュ・リスト(演奏したい作品リスト)」には、歌劇『青ひげ公の城』、既存の組曲がしっくりこず新たな組曲の編纂を優れた作曲家に委嘱したいとさえ考えている『かかし王子』も並んでいます)。 バルトークはパーヴォ・ヤルヴィの俊敏かつドラマティックな音楽性に最もフィットした作曲家であるとも申せましょう。バルトークがヨーロッパ時代に作曲したオーケストラのための大作3曲を1枚に収録した当盤は2017年9月、サントリーホールにおけるN響定期公演Bプロの全曲ライヴ。1936年に作曲された『弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽』は、弦楽パートを2群に分け打楽器・チェレスタと対比させるという型破りな編成で、20世紀の音楽思潮を決定づけた重要作。第2次大戦に向かう不安な世相観が反映したかのような『弦楽のためのディヴェルティメント』、ハンガリーやアラブなど複数の民族的なエレメントがいっぱいに詰まった躍動感あふれる『舞踏組曲』という3曲を収録。NHK交響楽団の持つ圧倒的なヴィルトゥオジティがこれまでにないほどの強度で発揮されています。いずれもパーヴォ・ヤルヴィ、NHK交響楽団双方にとっての初録音です。 当アルバムは、2019年6月12日に国内盤としてSACDハイブリッドで発売されたものです。今回は通常CDとしてヨーロッパDSDCでプレスされています。ブックレットは英・独・仏語で、日本語は入りません。(輸入元情報)(写真 輸入元提供)【収録情報】バルトーク:● 弦楽のためのディヴェルティメント BB118 / Sz113● 舞踏組曲 BB86 / Sz77● 弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽 BB114 / Sz106 NHK交響楽団 パーヴォ・ヤルヴィ(指揮) 録音時期:201Powered by HMV