ダヴィッド&イーゴリ・オイストラフ・エテルナ・レコーディングス(5CD)オイストラフが西側に衝撃を与えた1950年代後半の録音を中心にエテルナ音源を集めたセット。オイストラフ全盛期の張りのある美音がリマスターで見事に復活!セッションを組んでのテープ録音録音時期は1954年から1965年で、エルンスト・ヘルマン・マイヤーのヴァイオリン協奏曲以外はモノラルですが、すべてセッションを組んでのテープ録音なので、鑑賞に十分な音質は確保されており、オイストラフ全盛期のえもいわれぬ美しい音を味わうのには不足はありません。オイストラフきわめつけのチャイコフスキーオイストラフのチャイコフスキーは看板レパートリーだけに大量の音源が遺されていますが、ヴァイオリンの音の生々しい魅力という点ではこのエテルナ録音が最高です。DGからもリリースされていましたが、今回のCDではひと皮むけた鮮度の高い音を味わうことができます。オイストラフに献呈されたマイヤーのヴァイオリン協奏曲意外な聴きものなのが、オイストラフのために書かれたエルンスト・ヘルマン・マイヤー[1905-1988]という東ドイツの作曲家のヴァイオリン協奏曲。20世紀モダニズム風の聴きやすい作品で、マーラーやショスタコーヴィチ好きには受けそうです。オイストラフはいったん完成した作品を見て第3楽章に注文を付けるなど作品に真剣に取り組んでいます。2台ヴァイオリンの魅力オイストラフがエテルナのためにおこなった録音では息子のイーゴリがよく起用され、2台ヴァイオリンのレパートリーが数多く登場、なかなか興味深い聴きものともなっています。 中でもヴィヴァルディ「調和の霊感」の第8番には注目です。スターンとの1955年12月の米コロンビア(SONY)録音から僅か1年4か月で再録音がおこなわれたのには理由があります。米コロンビア盤は、超濃厚風味に仕上げた第2楽章には独特の魅力があるものの、使用楽譜(米シャーマー版)の問題なのかなぜか第3楽章に別な曲(RV813の第4楽章)が用いられたりして妙な具合だったので、まともなヴァージョンでの再録音に敢えて踏み切っています。また、オイストラフは、この曲がお気に入りなのか、1961年にはドイツ・グラモフォンで再録音していますが少しさっぱりし過ぎで、また、ほかにライヴ録音も2種ありますが音が冴えないので、ヴァイオリンの美音含めてこのコンヴィチュニーとの録音が最も良い感じに聴こえます。 マスタリングについて〜クリストフ・シュティッケル(マスタリング・エンジニア)ETERNAテープをリマスタリングする際の前提は、オリジナル・サウンドを変えることなく可能な限り最高の状態でオリジナル・サウンドを再現することでした。 全ての作業はオリジナルのアナログ・マスターテープに基づき、マスタリングはそれぞれのテープに対して細心の注意を払って行われました。 アナログ領域のみでサウンド処理されたアナログ信号を96kHz / 24bitの高品位デジタル化後に44.1kHz / 16bit化されました。 また、デジタル領域においてもノイズの除去や、オリジナル・サウンドに影響を与えるその他の修復は行わず、必要最小限のテープ・エラーとテクニカル・クリックのみの修復が行われました。 各種リンク【CDトラック番号リスト】●CD1 バッハ:ヴァイオリン協奏曲集、マイヤー:ヴァイオリン協奏曲●CD2 サラサーテ、ルクレール、ヴィエニャフスキ、コダーイ:小品集、メンデルスゾーン:協奏曲●CD3 ヴィヴァルディ、ヘンデル、ベンダ、タルティーニ、バッハ:2台ヴァイオリン作品集、他●CPowered by HMV