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フォーレ:ピアノを伴う室内楽全集(5CD)エリック・ル・サージュ、樫本大進、エマニュエル・パユ、他このセットはフォーレの遺した室内楽作品の中から、演奏にピアノが参加する作品を集めたものです。要するに室内楽作品のほとんどを集めたものということになりますが、ピアノにこだわった企画になっているのは、中心となるメンバーがエリック・ル・サージュだからということでしょうか。 共演者には、ル・サージュと親しいメンバーが集められ、ヴァイオリンの樫本大進、ピアノのアレクサンドル・タロー、フルートのエマニュエル・パユ、クラリネットのポール・メイエ、ヴィオラのリズ・ベルトー、ヴァイオリンのピエール・コロンベ、チェロのラファエル・メルラン、そしてエベーヌ四重奏団という有名どころ中心のキャスティングとなっています。【フォーレの作風】フランス国民音楽協会の設立者のひとりでもある作曲家、ガブリエル・フォーレ[1845-1924]は、小さなピアノ曲から大規模なオペラに至るまで様々な作品を書いています。しかし、フォーレ自身が好んでいたのは比較的小規模な作品のようで、たとえば代表作のレクィエムでも、編成の小さなヴァージョンの方に、よりフォーレらしい美しさが感じられますし、室内楽もすべてが名曲といえるほどの水準に達しているのがフォーレの「小編成」に対する熱意をよく示していると思われます。【フォーレの情熱】 教会オルガニスト出身の敬虔なイメージのあるフォーレですが、実際にはサロンを好み、歳をとってからも多くの恋愛に情熱を傾けていたというだけあって、その音楽にも繊細な情感表現が色濃く反映され、あこがれや喜び、哀しみ、諦めといった喜怒哀楽の移ろいが見事に表現されているのも大きな魅力となっています。【作風の変遷】ロマン派全盛期に生まれ、十二音や無調の時代まで生きたフォーレの作曲期間は約60年の長きに渡り、その作風の変遷も初期・中期・後期に分けて語られることが多いですが、室内楽作品はフォーレが生涯通じて好んでいたジャンルだけあって、どの時期にも優れた作品が書かれているのが特徴。【初期】初期はフォーレ30代の終わりまで。この時期に書かれたヴァイオリン・ソナタ第1番(1876)、ピアノ四重奏曲第1番(1879)、エレジー(1883)、子守歌(1879)、ロマンス変ロ短調(1882)は、どれも率直で美しいメロディに恵まれ、演奏回数の多さでも群を抜いています。【中期】中期はフォーレ40代から50代の終わりまで。この時期の代表作は、レクィエム直前に書かれたピアノ四重奏曲第2番(1886)でしょう。充実した筆致で隅々まで自信のみなぎった傑作です。また、この時期には和声や調性感の探求にも余念が無く、シシリエンヌ、アンダンテといった作品でもそれぞれに工夫が施され、またパリ音楽院の試験のために書かれた、ヴァイオリンとピアノのための初見試奏曲(1903)という曲でもフォーレならではの音楽の感触を聴くことができます。【後期】後期は60代から79歳で亡くなるまで。この時期のフォーレは、聴覚障害に悩まされるようにもなり、音域を絞ったりするようにもなりますが、音楽はさらなる変化を遂げ、スケールの大きさや深い精神性をも感じさせるピアノ五重奏曲第1番(1906)とピアノ五重奏曲第2番(1921)、チェロ・ソナタ第1番(1917)を書き上げる一方、ヴァイオリン・ソナタ第2番(1917)、ピアノ三重奏曲(1923)、セレナーデ(1908)では簡素で抽象的な中に独自の魅力を示し、チェロ・ソナタ第2番(1921)では流麗な美しさと深い哀しみの両面を見事に表わしてもいました。絶筆となった弦楽四重奏曲(1924)では、ベートーヴェンやバッハへのオマージュともいうべき要素を孕みながら、独自の幽玄な美を響かせているのが印象的です。(HMV)【収録情報】フォーレ:ピアノを伴う室内楽全集Disc1● チェロとピアノのためのソナタ第1番 op.109● チェロとピアノのためのソナタ第2番 op.117● 悲歌(エレジー) op.24(チェロ、ピアノ)● セレナーデ op.98(チェロ、ピアノ)● 蝶々 op.77(チェロ、ピアノ)● 子守唄 op.16(チェロ、ピアノ)● ピアノ三重奏曲 op.120(クラリネットを用いた初期構想版)Disc2● ピアノ四重奏曲第1番 op.15● ピアノ四重奏曲第2番 op.45Disc3● ピアノ五重奏曲第1番 op.89● ピアノ五重奏曲第2番 op.119Disc4● ドリー op.56(ピアノ連弾)● マスクとベルガマスク oPowered by HMV
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