シベリウスの番号付き交響曲の最後を飾る傑作。単一楽章による第7番は従来の交響曲に類を見ない特異な構成であること、さらに《交響的幻想曲》という当初のタイトルにもかかわらず、初演時から交響曲と同列にみなされたのはなぜか。解説者は、作品の本質が演奏時間や楽章の数、因習的な形式の踏襲云々ではなく、その内実で判断されたことを指摘。3つの重要な素材と、それらの内包する諸要素がいかに変化し、組み合わされて展開していくのか。また、これらの要素が織り込まれた2つの主題に注目して楽曲構造を解きほぐす。分析とあわせて、北欧の豊かな自然のイメージを引き合いに出しつつ曲調や作品の魅力を紹介する。