バッハの舞曲はほんとうに踊れるのか?力動感あふれる演奏の秘密にせまる!バロック音楽には舞曲の形式による作品が多く、「バロック音楽を演奏するなら、バロック・ダンスを学ぶべき」と言われる。しかし、当時の舞曲で踊ることは可能なのか?たとえば、バッハの舞曲は踊るために作曲されたものなのか──。本書は17〜18世紀の舞踏譜やヴァイオリン奏法書から、バロック舞曲にどのような身体性が秘められているのかを明らかにする意欲的研究。最終章では「ラジオ体操」や「スーパーマリオ」までを視野に入れ、音楽と身体のかかわりを考察する。はじめに第1部 予備的考察第1章 バッハの舞曲は踊れるのか? 1 バッハ楽曲で踊る試み 2 組曲のジャンル論 3 舞曲の様式化をめぐる議論第2章 バロック時代の舞踏資料 1 本書における用語の定義 2 2つの舞踏譜カタログ 3 舞踏譜の残存状況 4 定型的舞踏への着眼 第2部 クーラント研究 第3章 定型的クーラントの研究第3章 定型的クーラントの研究 1 クーラントの概要 2 クーラントに関する既存の様式理解への疑問 3 定型的クーラントの実態 4 定型的クーラントにおける舞踏と音楽のかかわり第4章 振り付けられたクーラントの研究 1 舞踏譜《ラ・ボカンヌ》の考察 2 舞踏譜《ラ・ドゥシェス》《ラ・ブルゴーニュ》《ラ・ドンブ》の考察 3 振付と伴奏舞曲から推測されるクーラントの変遷 第5章 器楽曲としてのクーラント 1 考察の対象と方法 2 マレとクープランのクーラント 3 音価型の頻度の議論と舞踏のリズム像 第3部 メヌエット研究第6章 ムッファトの説くメヌエットのための運弓法 1 ムッファトの《フロリレギウム第2集》序文 2 ムッファトの説く運弓法と舞踏のステップのかかわり 3 運弓によるフレーズ明瞭化の検証 4 演奏行為にともなう身体運動としての運弓第7章 フランスの奏法書におけるメヌエットのための運弓法 1 フランスのヴァイオリン奏法書の検討 2 舞踏譜の伴奏舞曲に対する運弓の適用 3 身振りへの着眼第4部 踊る身体と演奏する身体第8章 指標記号としての鳴り響き 1 2つの新たな発想 2 既存の音楽的身体論との比較 3 指標記号としての鳴り響き 4 議論の拡張おわりに主要参考文献と使用資料初出一覧索引