日本とドイツの〈パブリック・ビューイング〉の受容経験、マスメディアとSNSが支える〈ロックフェス〉、ゲーセンを起源とする〈ゲーム実況〉という動画文化、日本製アニメのネット流通が生んだ中国の〈動漫祭〉、紙の冊子=〈ジン〉を交換しあう場づくりの哲学などを通じて、「メディア」と「イベント」の機制の変容を問う。はじめに[飯田豊・立石祥子]第一章 ネット社会におけるメディア・イベント研究の地平──その仮設性=エフェメラリティを手がかりに[飯田豊・立石祥子] 1 はじめに 2 日本におけるメディア・イベント研究の系譜 3 日本におけるメディア・イベント研究の視座 4 メディア・イベントの仮設性=エフェメラリティ第二章 パブリック・ビューイング──メディア・イベントの再イベント化[立石祥子] 1 スクリーンへの熱狂 2 混乱と批判──二〇〇二年日本におけるパブリック・ビューイングの受容 3 戸惑いと賞賛──二〇〇六年ドイツにおけるパブリック・ビューイングの受容 4 「他者とは異なるわたし」の形成 5 日常化する祝祭第三章 音楽フェス──インターネットが拡張するライブ体験[永井純一] 1 音楽における「メディア」と「イベント」 2 現実空間におけるフェス体験 3 インターネットにおけるフェス──BBSからSNS、フェスティバル2・0へ 4 拡張するフェス体験第四章 ゲーム実況イベント──ゲームセンターにおける実況の成立を手がかりに[加藤裕康] 1 ゲーム実況イベントを問い直す 2 ゲーム実況イベントの起源 3 ゲームセンターにおけるゲーム実況 4 巨大ゲームイベントとコミュニティ第五章 中国の「動漫イベント」におけるオタクの分層構造──日本製アニメのオンライン受容を経て[程遥] 1 はじめに──「コミケ」と似て非なる中国の動漫イベント 2 「動漫文化」の誕生──中国における日本製アニメの受容と国外コンテンツの放送規制 3 オンラインで成熟したアニメオタク第一世代──中国における「字幕組」の位置づけ 4 「動漫イベント」小史 5 動漫イベントの空間──フィールドワークにもとづいて 6 おわりに──見えない境界と共存第六章 ジン(zine)が媒介する場づくりの哲学[阿部純] 1 はじめに 2 ジンの特異性──ミニコミ誌とジンの交わるところ 3 ジンのある場所──ジン・イベントの展開 4 ジンと「ライフスタイル」 5 おわりに──自分(たち)の居場所をつくること終章 大阪万博以後──メディア・イベントの現代史に向けて[飯田豊] 1 はじめに 2 範例的メディア・イベントとしてのタイム・カプセル──松下館 3 ハプニングとしてのテレビジョン──電気通信館 4 おわりに事項索引・人名索引