漫画の創世記からずっと[カワイイ]漫画家 2020年12月3日に惜しくもこの世を去った漫画家・花村えい子氏(享年91歳)。彼女が作家として歩んだ道のりは、そのまま少女マンガの歴史と重なります。女性の、女性による女性のための創作として,世界でも稀有な表現とされる少女マンガを、その黎明期から中心作家の一人として支えた花村えい子。その作品は、エンターテインメント性溢れる情緒豊かな作風で人気を博し、多くの人を魅了する繊細な筆致でさまざまな世代の女性たちがそれぞれに抱える葛藤をもいきいきと描き出しました。時代によって移り変わる世相を鮮やかに掴みつつ、貸本から少女雑誌、学年誌から少女マンガ、そして青年誌、レディースコミックとあらゆる媒体でクオリティの高い作品をその晩年までコンスタントに発表し続けた一生涯。長い作家人生の歩みは多岐に渡り、今ではその全仕事を追うことはかなり困難となってしまっています。この本は美しいカラーイラスト・単行本未収録の短編作品など実際の作品に触れながら、作品リストや関連資料も多数収録。気鋭のマンガ研究者らによる各時代の作品についての論考、花村個人を知る作家・編集者・家族による証言などで、「漫画家・花村えい子」を多角的に照射し、その偉大な足跡を今こそ総括し再評価する一冊としたいと考えています。 【編集担当からのおすすめ情報】 「花村えい子」生涯の全仕事を見直し、ジャンルによる分類で作品を紹介(各ジャンルで論考つき)。フアンだけでなく、日本漫画界においても貴重な漫画家本です。美少女画、美人画を含むイラストも豊富。また、交流のあった里中満智子先生、さいとうたかを先生、ちばてつや先生、わたなべまさこ先生の寄稿や楳図かずお先生の特別インタビュー、1980年「プレイコミック」に連載された、「雪の花」を再録など、大変盛りだくさんの一冊です。