チェコ放送の「プラハの春音楽祭」ライヴ・シリーズ第4弾貴重音源続々、バルビローリ、マッケラス、ジュリーニ、ハイティンク!チェコ放送の自主レーベル「ラジオサーヴィス」のシリーズ『プラハの春音楽祭ゴールド・エディション』の第4弾は、バルビローリ、マッケラス、ジュリーニ、ハイティンクらの貴重な演奏が収録されています。 1960年、ジョン・バルビローリ[1899-1970]とチェコ・フィルによるマーラー交響曲第1番『巨人』。バルビローリは1958年から2度目の同音楽祭登場。6月24日に行われたコンサートはテレビで生放送され、そのカリスマ性に多くの聴衆は惹きこまれました。バルビローリのチェコでの評価は、1962年録音のフランクの交響曲(SUPRAPHON)でいっきに高まりましたが、この音楽祭での演奏はその録音に先駆けた形となります。ここには収録されていませんが、同日に自作の『エリザベス朝組曲』、そしてドゥシェク(ドゥシーク)の『2台のピアノと管弦楽のための協奏曲』を演奏しています。バルビローリは当時すでに世界的名声を得ており、イギリスのマンチェスターに本拠を置くハレ管弦楽団の常任指揮者に就任(1943〜1970)、その他にもベルリン・フィル、ウィーン・フィルといった主要オーケストラを指揮し数多くの録音を残しています。またこのプラハの春音楽祭での反響や前述のフランクの録音への評価もあり、「SUPRAPHON」でのレコーディングの話もあったようですが(マーラーの交響曲など)、バルビローリの死去によりその計画の実現は不可能となってしまいました。 20世紀の弦楽アンサンブル作品の金字塔のひとつ、ブリテン[1913-1976]の『フランク・ブリッジの主題による変奏曲』。ブリテンの出世作ともなった本作は、師ブリッジの『弦楽四重奏のための3つの牧歌』(1906)からの旋律を用いた鮮やかな変奏曲。プラハでは、この1966年の音楽祭での演奏が初演だったといいます。 演奏はイギリス室内管弦楽団。ジェフリー・テイトが1985年に初代首席に就任するまで長く常任指揮者を置いていませんでしたが、レイモンド・レッパードやコリン・デイヴィス、ダニエル・バレンボイムら著名な客演指揮者と共演して高い評価を獲得。最初のパトロンにはブリテンも名を連ねており、ゆかりが深く、現在は新国王チャールズ3世がパトロンを務めています。イギリス室内管は、1966年に2つの演奏会を行いました。ひとつは当時芸術監督の任にあったバレンボイムとの演奏会、もうひとつがここに収録されている客演指揮者のチャールズ・マッケラス[1925-2010]です。マッケラスは、この音楽祭以降ヤナーチェクをはじめ、チェコ音楽の紹介に終生尽力し、チェコ・フィルの常任客演指揮者として数多くの録音を残しています。 カルロ・マリア・ジュリーニ[1914-2005]のプラハでの人気は高く、1977年には音楽祭の閉幕コンサートを任されベートーヴェンの「第9」をチェコ・フィルと演奏するなど定期的に訪れていました。ここに収録されているドヴォルザークの交響曲第7番は2度演奏しており、ひとつは1968年にニュー・フィルハーモニア管と、そしてもうひとつがこの1975年のウィーン交響楽団との演奏です。この第7番はロンドン・フィルハーモニック協会から依頼を受け作曲。同時期に敬愛するブラームスの交響曲第3番の初演に立ち会ったことも影響し、これまでの民族色豊かな作風から脱却した内容。とはいえチェコの民謡や独特なリズムを模した第3楽章など民族的なカラーも盛り込まれており、ジュリーニは得意とするブラームス的な部分と、民族色濃厚な部分を共に音楽的に導き完璧な演奏を聴かせています。 そして最後は音楽祭2度目の登場となったベルナルド・ハイティンク[1929-2021]指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団によるR.シュトラウス『ツァラトゥストラはかく語りき』。同コンビでは「PHILIPS」レーベルから1973年録音の同曲がリリースされ名盤の誉高いもの。また当時のプラハ放送の録音技師の高い技術により、ハイティンク&コンセルトヘボウ管の至芸を存分に堪能することができます。(輸入元情報)【収録情報】Disc1(78:43)● マーラー:交響曲第1番ニ長調『巨人』 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 サー・ジョン・バルビローリ(指揮) 録音時期:1960年5月24日 録音場所:プラハ、スメタナ・ホール 録音方式:モノラル(ライヴ)● ブリテン:フランク・ブリッジの主題による変奏曲 Op.10 イギリス室内管弦楽団 サー・チャールズ・マッケラス(指揮) 録音時期:1966年5月16日 録音場所:プラハ、ドヴォルザPowered by HMV