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ツェムリンスキー交響詩『人魚姫』、R.シュトラウス交響詩『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯』クリヴィヌ&ルクセンブルク・フィルツェムリンスキーの交響詩『人魚姫』に新録音の登場。演奏はエマニュエル・クリヴィヌ指揮ルクセンブルク・フィルによるもので、組み合わせは、リヒャルト・シュトラウスの交響詩『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯』という後期ロマン派プログラムになっています。【マーラーとシェーンベルクの架け橋的存在】アレクサンダー・ツェムリンスキーは1871年にウィーンに生まれた作曲家。ウィーン音楽院でピアノと作曲を学んだツェムリンスキーは、ブラームスから才能を認められ、その推薦を得て1896年にはクラリネット三重奏曲を出版しています。 その間、自ら結成したアマチュア・オーケストラ「ポリュヒュムニア」にチェリストとして入団してきた3つ年下のシェーンベルクと親しくなり、彼に対して対位法を手ほどきしています。 ツェムリンスキーの弟子にはほかに、アルマ・マーラー、カール・ヴァイグル、エーリヒ・ヴォルフガング・コルンゴルトらがおり、そのうちアルマとは恋仲でもありましたが、彼女は結局マーラーを選び、1902年には結婚してしまいます。その失意のさなか、書き始められたのが交響詩『人魚姫』だったこともあり、作品の内容と失恋との関連性についてはしばしば言及されることもあるようです。【80年間埋もれていた傑作】その交響詩『人魚姫』の題材は、おなじみのアンデルセンのおとぎ話『人魚姫』で、ストーリーのあらましを、3つの楽章から成る約40分の長さの音楽に投影しています。 作品が完成したのは1903年で、シェーンベルクの交響詩『ペレアスとメリザンド』も同年に完成したということもあってか、マーラーが名誉総裁を務める「ウィーン音楽芸術創造家協会」主催のコンサートで、1905年1月25日に一緒に初演されています。 初演では両作品とも評価されたものの、『ペレアスとメリザンド』に、より多くの注目が集まり、また、一部には『人魚姫』を貶す評もあったためか、ツェムリンスキー自身が、もうひとつの楽章の追加による「交響曲化」を考え、『死の交響曲』として完成することを計画した結果、ベルリンでの再演はキャンセル、楽譜の出版もおこなわれない運びとなってしまったようです。 しかし、実際には「交響曲化」がおこなわれることはなく、また、ツェムリンスキーの亡命によって楽譜の存在もうやむやになってしまったというのが、その後、『人魚姫』が約80年に渡り埋もれる要因であると思われます。【楽譜の発見、蘇演、そして人気の上昇】『人魚姫』の楽譜は、1970年代半ばに始まったツェムリンスキー再評価の機運もあって、楽譜探索が進められた結果、1980年にウィーンで第1楽章が、ワシントンで第2楽章と第3楽章が発見されています。 その楽譜による復活蘇演は、1984年に音楽学者で指揮者でもあるペーター・ギュルケがウィーンでユース・オケを指揮しておこなっています。1986年には、珍しもの好きのリッカルド・シャイーが実演でとりあげ、同時期にレコーディングも実施。そのアルバムがデッカから登場すると作品の知名度も高まり、次第にとり上げられる機会が増え、1989年には若杉弘指揮東京都交響楽団によって日本初演もおこなわれることとなりました。近年はCDの数も増え、現在までに下記10種類のアルバムが発売されています。 1986 シャイー/ベルリン放送響(40:16 DECCA) 1986 シャイー/コンセルトヘボウ(41:44 RCO)廃盤 1987 ペシュコー/南西ドイツ放響(44:48 WERGO) 1994 カスプシーク/北オランダ管(43:47 VANGUARD)廃盤 1995 コンロン/ギュルツェニヒ管(44:29 EMI) 1997 ダウスゴー/デンマーク国立放響(42:51 CHANDOS) 2003 ボーモント/チェコ・フィル(38:40 CAHNDOS) 2005 ダウスゴー/デンマーク国立放響(40:06 DACAPO) Powered by HMV
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