本書のタイトルは、「文化情報論序説」である。つまり「文化情報論の試み」とでもいえようか。では、「文化情報」という概念を仮にでも、どのように定義したらよいだろうか。「文化」の含む範囲は広い、「情報」の含む範囲も広い、それらが結合した「文化情報」も。本書では、むしろ人文・社会科学系および理系(情報工学など)の多様な専門分野の執筆者たちに、「文化情報」について、自分が採用したアプローチあるいはトピックスをそのまま、自由に論じてもらうほうが、「文化情報」概念を、窮屈で狭い概念にしてしまわないためには、望ましいのではないだろうかと考えた。