経済的破綻に更生はありえても、文化的破綻はその民族の自滅につながる。文化的生存の道は、自らの文化を、他文化と相対化することによって再把握し、そこから新しい文化を築くことしかない、とする著者が、日本人とヨーロッパ人、ユダヤ人、アラブ人との差異を、ことばや宗教、あるいは法意識などを通してわかりやすく解明した独特の比較文化論。日本文化の特性が如実に浮き彫りにされ、私たち自身を見直すうえで絶好の書である。1 ひとりよがりの日本人2 民族による臨在感の違い3 セム族の臨在感の特徴4 臨在感の歴史的裏づけ5 ショフティムと多数決原理6 言葉を重んじるセム族の伝統7 正統と異端・護教諭とその裁定8 言葉の差ーー神概念の相違9 ものの見方の差