どこまでも黒い。全部がおかしい。クザクはジャンボに斬殺された。セトラは大黒鷲に無残にも食い千切られた。鉄血王国から逃亡を図るハルヒロたちに突きつけられた絶望。どうしようもなかった。受け容れるしかなかった。“彼女”だけは抗った。抗ってしまった。その身の内に眠っていた“不死の王”が目覚め、世界はその有り様を激変させる。そして、黒き世界腫がグリムガルを蹂躙し、侵蝕してゆく。混乱を極める状況の中、辺境軍が、冒険者たちが、あらゆる種族が、死んだはずの者たちまでもが、行動を開始する。生き延びるため。己の望みを叶えるため。漆黒に染め上げられようとする世界で、各々の冒険譚が紡がれていくーー。