アニメーションの作り手たちは、動きやストーリーを魅力的にするために様々な技を考えてきた。本書では、心理学者と作り手の視点から、そうした技の秘密に迫る。実写映像が1秒あたり24枚の連続写真であるのに対し、1秒あたり8枚の絵しかないアニメーションでもちゃんと「動いて見える」のはなぜか。それどころか、実写と同じ枚数の絵を用いた動きよりも魅力的なことがあるのはどうしてか。また、海外とは異なる日本のアニメの特徴とは何か。こうしたアニメーションにまつわる疑問に答えていく。編者はじめに第1章 アニメーションの心理学的研究 1 アニメーションとアニメーション研究の多様性 2 感覚・知覚心理学的関心 3 認知心理学的問題 4 発達心理学的問題 5 その他の心理学的問題 6 おわりに 第2章 アニメーションの動き 1 実写映画とアニメーション映画 2 物差しとしての「不気味の谷」 3 アニメーションの動きの特徴 4 心で見る動き─ 知覚心理学からの見解 5 おわりに 第3章 仮現運動 1 仮現運動とは 2 テレビ・映画の原理 3 運動知覚の原理 4 一次運動と二次運動 5 おわりにーーアニメーションと仮現運動 第4章 視覚機能から見たアニメーションの特徴 1 動きがあることのメリット 2 アニメーションでは実写動画に比べて動きの強調が可能 3 アニメーションで対象が輪郭線に囲まれていることによるメリット 4 アニメーションと仮現運動 第5章 動きの造形論 1 動きをつくるアニメーターの頭の中 2 動きをつくるアニメーターの能力 3 動きをつくる、その考え方 4 さまざまな「動きの造形」の競合 5 おわりに 第6章 アニメーションの「感情の谷」 1 日本の商業アニメーションにおける感情の谷 2 日本のアート・アニメーションにおける感情の谷 3 感情の谷とは何か 4 『ぼくの名前はズッキーニ』 5 おわりに 第7章 アニメーション療法 1 語りとしてのアニメーション 2 作り手側から見たアニメーション 3 おわりに 執筆者野村康治【第1章】吉村浩一【第2章】佐藤隆夫【第3章】中村 浩【第4章】森田宏幸【第5章】横田正夫【第6章、7章】