2.5次元文化は、アニメ・マンガ・ゲームの虚構世界を現実世界に再現して、虚構と現実のあいまいな境界を楽しむ文化実践である。舞台・ミュージカルに焦点を当てて作品の魅力や特徴を明らかにして、2.5次元の世界を熱量あふれる筆致で描く初の研究書。はじめに第1章 「二・五次元文化」の隆盛 1 「二・五次元」の意味の変容 二・五次元としての声優(または“中の人”) マンガ、アニメベースの舞台としての二・五次元 2 二・五次元文化隆盛の背景 キャラクターとその共有、消費、利用 リアリティ認識とコミュニケーション様態の変容 参加型文化ーーパフォーマンスとしての二・五次元文化実践 3 本書の構成第2章 二・五次元舞台とは何かーー虚構的身体性とファンの相互作用 1 「二・五次元舞台」の歴史と社会文化的背景 「二・五次元舞台」の歴史とマンガ、アニメ、ゲーム文化 声優、特撮ヒーローなどの若手イケメン俳優 2 キャラクター/キャストの「虚構的身体性(virtual corporality)」 英語圏のマンガ、アニメ原作ミュージカル 虚構的身体性(virtual corporality)とメディアとしての身体 3 相互参照的メディア横断ナラティブ(クロスレファレンシャル・トランスメディア・ナラティブ)と「虚構的身体性」第3章 二・五次元舞台の成立と展開 1 アニメミュージカルーー“二・五次元的(傍点)舞台”から二・五次元舞台へ ミュージカル『聖闘士星矢(ルビ:セイントセイヤ)』(一九九一年)と少女マンガ原作ミュージカル 『サクラ大戦』歌謡ショウシリーズ(一九九七ー二〇〇六年) 『HUNTER×HUNTER』シリーズ(二〇〇〇-〇四年) 2 “二・五次元”舞台の誕生へ ミュージカル『テニスの王子様』シリーズーー二・五次元舞台ブームへ ミュージカル『美少女戦士セーラームーン』--戦略的「チーム女子」 舞台/ミュージカル『刀剣乱舞』シリーズーー歴史ブームとゲーム原案コンテンツ ハイパープロジェクション演劇『ハイキュー!!』--言葉、映像、音楽、虚構的身体性 [インタビュー]海外での二・五次元舞台の広がり第4章 二・五次元舞台ファンと「嗜好の共同体」としてのファンダム 1 「嗜好の共同体」としてのファンダムの可能性と課題 趣味、趣味縁、アニメ・マンガファンダム “ハッシュタグ・コネクション”と「弱いつながり」 2 量的調査 3 質的調査 フォーカスグループ討論ーー『テニミュ』の女性ファン 日本人ファンへの個別インタビュー 海外ファンへの個別インタビューおわりに引用文献一覧二・五次元文化年表あとがき