「文字は人間が作り出した最大のオブジェである」。漢字を敬いながら、単純化を試みたり、複雑な新作文字を生みだす漢字文化圏の人々。路地裏の落書きにも潜む書き手の息づかい。重ね書きで往代の滲みと重層させる書の方法や、身体を書と同化するパフォーマンス書道も人気を集める。生命力溢れる文字の豊かさと広がりを縦横無尽に物語る文化誌。第一章 文字の場所・文字の風景◆文字の場所落書きと痕跡/江戸から東京へ/水平の碑第二章 漢字、東アジアの歴史を映す◆漢字の改良西夏文字の過剰/「疑似漢字」の系譜/漢字ナショナリズム◆漢字のエキゾティシズムアタナシウス・キルヒャーの漢字/ヴィクトル・セガレンの『碑』/飛翔する文字「飛白」第三章 古今東西、文字を遊ぶ◆秘密の文字にせの文字/秘密の文字・秘密の書写◆文字と遊ぶ仮名の文字遊び/吉祥文字/回文の不思議第四章 文字が秘める身体性◆五感の文字文字を食べる・呑む/マンガのオノマトペ/文字の靈力◆文字のふるまいパフォーマンス書道/漢字の呪縛とアート◆線と言葉浅野弥衛「描線の詩学」/ラインズ◆性と文字第五章 文字とメディア◆皮膚と文字入れ墨と文字◆書物杉浦康平のブックデザイン/書物の余白に