本書は角換わり△3三金型早繰り銀の戦術書です。本戦法は見た目は愚形ながら手得を主張する変則的な後手番早繰り銀のことで、第1号局は2013年の公式戦まで遡ります。「変則的な早繰り銀」や「△3三金型早繰り銀」という名前では少し味気ない……ということで、著者の千葉幸生七段はサザンハヤクリと呼びます。サザンハヤクリの最大の特徴は通常の後手早繰り銀よりも銀の出足が2手早いこと。手得を生かして切り込むも良し、相手の駒組みを牽制しながら待機するのも良し。受け身になりがちな後手番角換わりにおいて、主導権を握って戦える数少ない貴重な戦法と言えます。後手番で困っている居飛車党のかたにオススメの戦術書となります。序 章 サザンハヤクリと本書の概要 第1節 作戦の仕組みと狙い 第2節 本書の概要第1章 ▲5六銀型 幕間の解説(1) 仕掛け周辺の考え方第2章 ▲3七桂型 幕間の解説(2) △4二玉と△9四歩について第3章 ▲4七銀型 幕間の解説(3) 先手受け身の形第4章 相早繰り銀 幕間の解説(4) △6二金型持久戦策第5章 ハヤクリの諸問題と序盤のアイデア集 コラム(1)どこから来たのかサザンハヤクリ コラム(2)幻のサザンクロス コラム(3)コロナ禍の新戦法 コラム(4)1991年の出会い コラム(5)桂香問答 コラム(6)1992年の夏 コラム(7)ダンゴムシ コラム(8)カエラの話