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装幀家の書物への感性 今年から来年にかけて、著者に大きなスポットが当たる。一つは著者を主人公にしたドキュメンタリー映画の制作、もう一つは著者による自伝の刊行だ。 本書の刊行過程も映画のワン・シーンに取り上げられる予定で、殊に製本段階では、これまであまり取り上げられなかった「一冊の本ができあがる」工程が、装幀家の視点を通して紹介されると思われる。 多くの書店の平台や棚で、必ず目にすることのできる「菊地本」ともいわれる著者装幀の書物の数々。その装幀の根底を支える著者のイメージの広がりは、わずかに書かれるエッセイによって、多く知ることができる。 内容から造本まで、名エッセイ集として評価の高かった『樹の花にて』が刊行されたのが1993年。それから20年以上の歳月を経て、久方ぶりに著者が世に問うたのが本書である。直接装幀とは無縁な日常の発見の数々が、読者を書物という知的世界への興味をかきたてる。 この20数年を経て、著者の感性がますます研ぎ澄まされていることに、読者は驚くだろう。
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