トヨタ1600GTはトヨタ2000GTの“弟分”的存在でしたが、その兄貴よりもサーキットで活躍した名車。当初、RT-Xという名前でサーキットデビューしていますが、実戦で鍛え上げられ、そのDNAを余すことなく受け継ぐことをコンセプトに市販化が決定したのが1600GTでした。本書はこれまで知名度が低かった名車、トヨタ1600GTの“本当の姿”を浮き彫りにするべく編集しています。スタイリングの詳細が分かるのはもちろん、エンジン、トランスミッション、サスペンション、ステアリングシステムなど、どういった構造で、どこが時代に先んじていたのか、遅れていたのか……。3年をかけたフルオーバーホールの記録写真から各部位の構造を解き明かしています。トヨタ1600GTの詳細について書かれた唯一無二の市販版“構造解説書”ともいえます。1600GT 誕生物語9R型エンジンの構成パーツを観察する・冷却性能に慎重な配慮をした結果LLC 流路を外部にも設けている・“アメ車”が先生のフライホイールカバー一体型のシリンダーブロック・シリンダーブロック前面に移されたデスビ機構は短命だった・クロスドリリング方式? ストレートドリリング方式?・鋳鉄製クランクシャフトを3ジャーナルで6200rpm までまわす諦観・軽量化を最優先して選択されたローエックス鋳造ピストン・有鉛ガソリン仕様から無鉛ガソリン仕様への変更があった?・排気脈動を考えたEX バルブの開閉タイミングはRT-X 譲り?・オルタネーターのプーリー比は1.62 だから高回転型志向だ・オイルポンプはトロコイド式ではなく高回転志向のギヤ式を採用・フィンが切られたアルミニウム合金製のオイルパンは形状にも拘っている三国ソレックスの各系統の機能/作動をチェックするRT55 型の懸架/ 操縦/ 制動の構成パーツを観察する・クロスメンバーに上下不等長のアームとコイルスプリングが組み込まれる・平行リーフスプリング型だがトルクロッド装着でワインドアップを排除・優れた操舵感のリサーキュレーティングボール式ステアリング機構・真空式の分離型ブレーキブースターをスペースの関係で左フェンダー上に設置角断面構造をベースにしたユニフレームを観察する・ユニフレームとピラーレスハードトップの両立の困難さ・ピラーレスとリアクウォーターパネルとウインドーの関係性現代のウレタン塗装で当時のエナメル系塗装を再現!?サーキット黎明期に生まれた1600GT概説当時のレーシングパーツカタログを検証復刻