「機動破壊」でおなじみの健大高崎、投手の育成に定評のある前橋育英の2強を筆頭に甲子園を沸かせる隠れた高校野球王国・群馬県。過去には1999年の夏の大会で桐生第一が、そして2013年の夏の大会では前橋育英が全国制覇を成し遂げた。 ここ最近は健大高崎、前橋育英、桐生第一、樹徳の私立4強の力が高いが、前橋商、高崎や太田、利根商など公立も意地をみせ、再び高校野球熱が高まっている。そんな群馬の高校野球を牽引する11校の指揮官の指導法やマネジメント術、選手育成論などをまとめた1冊。2013年夏 甲子園初出場初優勝「前橋育英」1999年夏 群馬県勢初の日本一「桐生第一」“機動破壊”を掲げ、悲願の全国制覇を狙う「健大高崎」…強豪私学を中心に往年の伝統公立校が混戦に拍車をかけ、毎年レベルの高い闘いを繰り広げる高校野球王国・群馬上州から“聖地”を目指す11人の指揮官が語る勝利マネジメント術「不如人和」 青柳博文監督(健大高崎)「凡事徹底」 荒井直樹監督(前橋育英) 「雑草魂」 今泉壮介監督(桐生第一)「負けない野球」 福田治男監督(利根商)「トレーニング革命」 羽島達郎監督(関東学園大附)「思考自走野球」 小暮直哉監督(前橋東)「環境作り思考作り」 岡田友希監督(太田)「丹念 執念 情念」 境原尚樹監督(高崎)「ONE」 井達誠監督(樹徳)「一人一役 全員主役」 住吉信篤監督(前橋商)「ドミニカ共和国で学んだこと」 清水哲也監督(渋川青翠)群馬県は、隠れた高校野球王国だ。参加校は66校だが、夏の群馬大会の熱狂度は全国屈指。筆者は15年以上にわたり群馬の高校野球を取材してきた。群馬を舞台に甲子園を目指す監督たちの生き様、戦いぶり、指導法、お茶目っぷりを多くの人に伝えたい。純粋にそれだけの思いで、筆を取った。 群馬県の高校野球シーンは1999年夏に福田治男監督(現利根商監督)率いる桐生第一が初の全国制覇。群馬県勢としても初の快挙となった。2000年代は、桐生第一を軸に前橋商などが覇権を争った。2010年代からは新興勢力が加わり、群雄割拠の様相をみせていくことになる。2011年に荒井直樹監督が指揮する前橋育英がセンバツ出場を決めると、同年夏には青柳博文監督が作り上げた健大高崎が初の甲子園出場を決める。2012年のセンバツではベスト4へ進出。2013年には、2年生エース高橋光成(西武ライオンズ)を擁した前橋育英が夏甲子園初出場で初優勝。その後も群馬県勢の勢いは止まらない。2014年には健大高崎が「機動破壊」というセンセーショナルな言葉を旗印に甲子園4試合で計26盗塁という数字を記録、全国にインパクトを与えた。上州はそこから前橋育英と健大高崎の2強時代へと突入していく。だが、桐生第一、前橋商ら伝統校をはじめとする公私実力校も負けてはいない。気鋭の若手指揮官たちもあの手この手を駆使して2強を追走していく。その争いが群馬県のレベルを一気に高めた。(「はじめに」より)